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【ばけばけ】錦織(吉沢亮)がこの世を去った夜…映画『国宝』は日本アカデミー賞10部門受賞という“出来過ぎた偶然”

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田幸和歌子

【ばけばけ】錦織(吉沢亮)がこの世を去った夜…映画『国宝』は日本アカデミー賞10部門受賞という“出来過ぎた偶然”

「ばけばけ」第115回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。『怪談』でおなじみ小泉八雲と、その妻 小泉節子をモデルとする物語。「ばけばけ」のレビューで、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

▼前回はこちら▼

>>なぜかこの一文だけが流暢——トキの「I want to be with you」が胸に響いた【ばけばけ】第22週

トキとはまた別物の、ある種の「パートナー」的な存在

吉沢亮演じる英語教師の錦織友一は、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』において、ヒロイン・松野トキ(髙石あかり)、そしてレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)と並ぶ、第3の主人公のような存在として物語の主要な軸となる登場人物だった。

本作は、本当にさっくり分けると、ヒロイン・トキの松野家の絆の物語、そして異国である日本にやってきて戸惑いながらも日本の風景や人の魅力に魅せられていくヘブンの物語が2本の大きな柱として並行して存在し、その2つの柱が交わっていくことで物語が進行していった。

ヘブンが来日したときに松江港で出迎えてから、ヘブンの仕事だけでなく日常生活に至るまで身の回りの世話をやり続けてきたのが錦織だった。ヘブンの日本での生活の大きな部分は、「リテラシーパートナー」として錦織が支えてきた側面もあり、トキとはまた別物の、ある種の「パートナー」的な存在だった。

錦織は、学生時代ずっと主席で「出雲の三才人」の一人、〝大盤石〟と称されるほどの秀才として描かれてきた。錦織のモデルは、作中の錦織と同じようにヘブンのモデルであるラフカディオ・ハーン/小泉八雲を支えた島根県尋常中学校の教師、西田千太郎である。錦織は帝大を卒業できず教員免許も持っていなかったことことがのちに明かされたが、西田は経済的理由で大学に進学できなかったという。

【ばけばけ】錦織(吉沢亮)がこの世を去った夜…映画『国宝』は日本アカデミー賞10部門受賞という“出来過ぎた偶然”(画像2)

「ばけばけ」第112回より(C)NHK

【ばけばけ】錦織(吉沢亮)がこの世を去った夜…映画『国宝』は日本アカデミー賞10部門受賞という“出来過ぎた偶然”(画像3)

「ばけばけ」第113回より(C)NHK

前述の通り、『ばけばけ』の錦織は、ヘブンの「パートナー」として、数々のヘブンの無茶振りに振り回されたりしながらも、のちに妻となるトキとは違うポジションでヘブンを支え続けた。それは友情であり、ある種の〝愛〟が根底にある。ヘブンが右も左も分からず口をひらけば「ジゴク、ジゴク」と悪態をつきながらも、どこかその〝愛〟に甘えられた部分はあったのではないかと思う。

そんな愛と甘えがあるからこそ、ときにはぞんざいな扱いを受けたり、本来のパートナーであるトキとヘブンが心を通わせていく過程のところどころに同席しては所在なくたたずむようなポジションであることもまた、吉沢亮の繊細な演技も含め、視聴者が愛着わく雰囲気をかもし出し続け、トキとは違う立場で常にヘブンに寄り添う存在であり続けてきた。

そんな錦織であるゆえに、ヘブンとトキが松江を出て熊本に移り住み、リテラシーパートナーとしての役割もトキが引き継ぐような形となっていったときもまた、なんともいえないせつなさを含む演出だったこともまた印象深い。

さて、第23週のサブタイトルは、「ゴブサタ、ニシコオリサン。」である。その通り、ヘブンがひさしぶりに松江を訪れ、錦織との再会が描かれた。

【ばけばけ】錦織(吉沢亮)がこの世を去った夜…映画『国宝』は日本アカデミー賞10部門受賞という“出来過ぎた偶然”(画像4)

「ばけばけ」第111回より(C)NHK

ヘブンの松江来訪の理由は、ヘブンとトキの間に息子の勘太が産まれたことである。勘太の出生届を出すために、ヘブンの国籍をどうするかという問題が浮上する。そして、それらの手続きのために松江を訪れたというわけだ。

まず、ヘブンが決意したのは、「日本人になる」ということだ。日本の国籍を取得し、松野家の戸籍に入る。それを江頭知事(佐野史郎)に取り計らってもらうため、錦織にその仲介を頼みに錦織のもとを訪れたというわけだ。

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