「むせる・滑舌が悪い」は危険信号?【オーラルフレイル】の危険度チェックと対策法
しっかり噛んでちゃんと飲み込む。口から喉にかけての機能が衰えるオーラルフレイル。低栄養や誤嚥性肺炎のリスクを高め全身の衰えを誘発。負のスパイラルに陥らないため今できることは?
お話を伺ったのは
鈴木隆雄さん 国立長寿医療研究センター理事長特任補佐
すずき・たかお●1951年、北海道生まれ。
82年東京大学大学院博士課程修了。
東京都老人総合研究所副所長、国立長寿医療研究センター研究所長などを経て2015年より現職。
専門は老年医学、疫学、古病理学。
25年に日本老年医学会「尼子賞」受賞。
小さな口のトラブルを見過ごさないようにしましょう
歯周病だけじゃない。口腔の筋肉の衰えも原因
「年を重ねると、歯周病や歯の喪失、舌や唇の筋肉の衰え、唾液分泌量の減少、飲み込む力の低下などによって口腔機能も衰えます。これをオーラルフレイルと呼びます」と鈴木隆雄さん。
硬いものが噛みにくい、食事の途中で「むせる」、食べこぼす、滑舌が悪くなったなど、ちょっとした口のトラブルは、オーラルフレイルのサイン。年のせい、と軽視されがちだが、全身に影響を及ぼすという。
「たとえば、硬いものが食べにくくなると、自然に軟らかいものを好むようになり、さらに噛む機能が低下し、栄養に偏りが生じたり、栄養をきちんと吸収できなかったりします。たくあんをポリポリ噛むといった“食”の楽しみが薄れ、食欲低下も招く。こうした状態が続くと低栄養に陥り、全身のフレイルに繋がりかねません。何より怖いのは、高齢期の主な死因の一つ、誤嚥性肺炎の発症。咀嚼や嚥下に関わる舌や喉の筋肉や、飲み込むときの反射能力の低下が発症の一因です」
実際に、高齢者を対象にしたある調査では、オーラルフレイルの人は、そうでない人に比べて、2年以内に要介護認定を受ける確率が2.4倍、死亡する率は2.1倍という結果も。たかが口のトラブル、とあなどるなかれ。体のフレイル同様に、予防・対策は早めに始めるに越したことはない。
オーラルフレイルってどんな状態?
オーラルフレイルの人が抱えるリスク
【新規発症】
身体的フレイル 2.4倍
サルコペニア 2.1倍
要介護認定 2.4倍
総死亡リスク 2.1倍
Tanaka T, Iijima K. J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 73, 2018.より
