【加藤登紀子さん82歳】人生で誰にでも起きる「まさか」。でも、おときさんが引き寄せる出来事は桁違い
エッセイの名手としても知られ、数々の著作を持つシンガーソングライターの加藤登紀子さん。この3月31日に最新刊『「ま・さ・か」の学校 ピンチはチャンス』(時事通信社)を上梓しました。2024年に刊行した『「さ・か・さ」の学校 マイナスをプラスに変える20のヒント』に続く第2弾の本書、加藤さんの人生に起こった、思わず「まさか!」と言いたくなるようなさまざまな出来事が語られています。「まさか」なエピソードの数々は、加藤さんの人生をどう変えてきたのか。話を聞きました。
Profile
加藤登紀子さん 歌手
かとう・ときこ⚫1943年満州国ハルビン生まれ、京都府育ち。65年東京大学在学中に第2回日本アマチュアシャンソンコンクールに優勝し歌手デビュー。69年「ひとり寝の子守歌」、71年「知床旅情」ではミリオンセラーとなりレコード大賞歌唱賞受賞。以後90枚以上のアルバムと多くのヒット曲を世に送り出す。88年、90年、米ニューヨークのカーネギーホール公演をはじめ、世界各地でコンサートを行う。恒例「ほろ酔いコンサート」は50年以上続いている。映画『居酒屋兆治』『紅の豚』では女優、声優として演技も披露。獄中結婚をした学生運動のリーダー藤本敏夫(2002年死去)との間に3人の娘がおり、孫は7人。
「場外を走ってきた馬」だからこそ出合った出来事
誰の人生にも予想外の出来事は起こる。いい意味でも、あるいは、あまり喜ばしくはないけれども悪い意味でも、そうした想定外のことは起こるものだ。加藤登紀子さんがこの3月に刊行した著書『「ま・さ・か」の学校 ピンチはチャンス』には、これまでに加藤さんが体験した、そうした数々の「まさか」な出来事が「これでもか」とばかりに綴られている。
奇跡のような歌や人との出会いの物語もあれば、それほど多くの人が体験することではないだろうピンチなども綴られていて、加藤さんの波乱万丈の半生が浮かび上がってくる。印象的なのは、それらがどのようなピンチであっても、そのときに加藤さんが慌てたり嘆いたり落ち込んだり、はたまた立ち止まったりはしていないことだ。どれもポジティブに受け止めすべてを楽しんで、文字通り自身のチャンスに変えているところに感動し、圧倒もされる一冊なのだ。
「私を競走馬に例えれば、初めから馬主にお金で買われたこともなく、調教師も騎手もいないまま、中央競馬会のレースに顔をならべることもなく、フェンスの場外をひたすら好きなように走って来た馬なのかもしれない」と加藤さんは「プロローグ」で述べている。そして「この『ま・さ・かの学校』でご紹介するエピソードは、そんな場外の馬の私だからこその出来事と言えるかもしれない」とも。
加藤さんほどの人物になればこそなのか、引き寄せる出来事のスケールの大きさにも驚かされる。そしてさらに驚くのは、一つひとつのエピソードについて、その場の状況や人の会話など仔細がきちんと書き込まれていることだ。遠い日の出来事でもまるで昨日のことのように、鮮やかに記憶しているところに感嘆する。
「手帳はあるんですよ。でもそれはスケジュールを記録しておくためのものなので、日記はつけていないんです。ただそれを見ると、何月何日にこれとこれがあって、どっちが先だったかとか、そういうことは残してあるので、それをもとに記憶をひもとくという感じでしょうか。まあ、何度か誰かに語っていることもありますし、忘れないように、割合しつこく記憶していくようなところがあるのかもしれないですね」
