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【益田ミリさん】インタビュー『スーパーマーケット宇宙』誕生秘話|買い物が「心の旅」になる瞬間とは?

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依田邦代

人気のイラストレーターの益田ミリさんが、スーパーの商品一つずつをテーマに描いたコミックエッセイ『スーパーマーケット宇宙』(KADOKAWA 刊)が話題です。 誰もが日常的に足を運ぶ、あまりに身近な場所「スーパーマーケット」をあえて「宇宙」と呼ぶミリさんの感性。ミリさんにとって、スーパーマーケットはどのような場所なのかうかがいました。

子ども時代を思い出したり思わぬ発見に驚いたり

益田ミリさんの最新刊は「スーパーマーケット」が舞台だ。

誰もが日常的に足を運ぶ、あまりに身近な場所。そこをあえて「宇宙」と呼ぶ感性が興味深い。

ミリさんにとってスーパーマーケットは、どのような場所なのか?

「てくてく歩いてスーパーマーケットへ。買う物はたいして変わらないのだから、パッパッとカゴに入れれば15分で済むはず。なのに、その倍は店内にいる。もっといることもある。さばけないのにデカい魚をガン見する。生きているカニの様子が気になる。歯ブラシの種類の多さに毎度感心し、キャットフードの猫の写真に癒され、季節商品のワゴンで四季を感じ、そして人生の儚さを想う。スーパーマーケットは、わたしの小さな暮らしの巨大な宇宙だった。考えたり、空想したり、思い出したりしながら、今日も自由に浮遊する。」(「はじめに」より)

ただ買い物をするだけではなく、宇宙遊泳するようにスーパーで自由に心を遊ばせているらしい。

「以前は深夜に原稿を描いていましたが、今は昼間に机に向かい夕方になったらのんびりしています」

スーパーはそんなとき、楽しく気分転換できる場所なのだという。

「自宅で仕事をしているので、夕方、散歩がてら出かけていくのですが、店内でも散歩している感覚です。いろんな商品の棚をゆっくり見て歩き、プリッツやヨーグレットなど、昔からあるお菓子を見かけて、ふいに子ども時代のことを思い出し、懐しくなったりしています。そして、棚にあるお菓子をどれでも買っていいんだなと思うと『大人っていいなぁ』と思います(笑)。また、たまご、ブロッコリー、かまぼこ、コーヒーなどをカゴに入れていると、ときどき、『たまごって命のカタチをしているんだな』とか『ブロッコリーって小さい木みたいだな』としみじみすることも」

頭の中にふと浮かんでは消えるあぶくのような思いを大切にすくい上げ、一つ一つ大切に持ち帰るミリさん。

「家に帰るまでなんとなく、それについて考え続けていることがあります。この漫画にもありますが、たとえば『そうめん』を見て、子どもの頃、夏の土曜日の昼ごはんはそうめんだったなぁと思い、そういえばそうめんって細くてきれいだな、タイムマシンに乗って古代エジプトに持って行ったら『宝石』みたいに扱われたりして? みたいなことを楽しく考えながら帰ったりしています」

そうめんを見て古代エジプトへ!? 人は想像力によって、時空を超え、自由にトリップすることができるのだ。

商品一つ一つが心の宇宙へつながっている

「いつもの毎日、いつものスーパーマーケット。自分が生きている世界はとても狭いですが、心の中は広々していてさまざまな感情が星のように点在しています」

一見、商品を品定めしているように見えて、実は心の中で子ども時代の記憶をよみがえらせたり、好奇心を膨らませたり、季節を感じたりしているミリさん。

「漫画にも登場するロッテの『バッカス』は中にブランデーが入っている冬季限定のチョコで、それが棚に並ぶと『もうそんな季節か』とお菓子の棚で季節を感じます。節分、子どもの日、七夕など、店内の飾り付けを見て新しい季節を感じるのも楽しみの一つ。なので飾り付けに気合いが入っているスーパーは特に好きです」

スーパーの缶詰売り場にも驚きがある。

「ポルトガルのスーパーには缶詰がずらり。干し鱈やツナ、あとはタコの缶詰などもたくさん並んでいて、パッケージが色鮮やかできれいだなぁと思ったのを覚えています。長野県の軽井沢のスーパーではいなごの甘露煮の缶詰を見つけ、地域による多様な食の文化を感じました」

昨今は商品の値上がりにばかり気を取られがちだが、ミリさんのようにやわらかな心でスーパーを楽しめたら素敵だ。

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