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朝ドラ【風、薫る】「言葉が足りないよ」りん(見上愛)の本音があふれた、シマケン(佐野晶哉)を看護した夜

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田幸和歌子

シマケンは危機を脱する

そしてもう一人。ヒデ(池田朱那)もまた風に乗せられたかのように再登場する。ヒデは、かつてりんたちが学生を教える立場になったときの最初の生徒の一人だが、りんの姿を見るうち自分にはできないと学びの途中で去っていった。ヒデはなんと医師になっていた。

もともと優秀な生徒として描かれており、りんたちもその退学を責められたりもしたが、看護婦ではなく医師として人の命を支える道を選んだこともまた、真が強そうなヒデらしい選択だ。しかし医師の道も当たり前だが大変な世界だ。試験を3回受けようやく合格できたという。かつての生徒がこの先のりんたちにとって、頼もしい存在となる。明るい兆しを風が次々と運んできた。

朝ドラ【風、薫る】「言葉が足りないよ」りん(見上愛)の本音があふれた、シマケン(佐野晶哉)を看護した夜(画像6)

「風、薫る」第123回より(C)NHK

朝ドラ【風、薫る】「言葉が足りないよ」りん(見上愛)の本音があふれた、シマケン(佐野晶哉)を看護した夜(画像7)

「風、薫る」第123回より(C)NHK

そんなりんと直美に舞い込んできたのが、シマケンの派出看護の依頼だった。シマケンは胃がんの手術を終えていた。生きるために胃を切除したが、自分のためだったらそれを選ばなかったが、甥が学校を出るまではという。

そんなシマケンが急変し、生命の危険にさらされる局面を迎えた。医師の藤田(坂口涼太郎)は、医療でできるのはここまで、あとは本人の頑張り次第と告げる。虎太郎(小林虎之介)にもあんたがんばりすぎだと言われるなど、シマケンは十分頑張ってきた。

シマケンの手をとり励ますりん。シマケンは、この手を放したくなかったと悔いる。「言葉が足りないよ」と、ある日忽然と姿を消したシマケンへの思いをぶつけるりん。言葉を紡ぐ仕事を目指し、いろんな言葉を知ってるはずなのにという言葉には熱い思慕が詰め込まれている。

朝ドラ【風、薫る】「言葉が足りないよ」りん(見上愛)の本音があふれた、シマケン(佐野晶哉)を看護した夜(画像8)

「風、薫る」第124回より(C)NHK

朝ドラ【風、薫る】「言葉が足りないよ」りん(見上愛)の本音があふれた、シマケン(佐野晶哉)を看護した夜(画像9)

「風、薫る」第125回より(C)NHK

「意地を張り切って生きてよ」
そんな思いが通じたのか、シマケンは危機を脱する。

看護は決してそれによって直接生命を救うものではないかもしれない。しかし、患者が生きるために一番大切なものを支え、寄り添い、ときにはそれを作り出すこともできる、そんな大切な存在なのかもしれない。シマケンの看護を通じて、りんや直美は、正しい看護の本質のようなものを捉え直すことができたのかもしれない。

ツヤ、ヒデ、そしてセツ。それぞれが風に乗って、りんたちのもとへと着地してきた。それが運命という風に運ばれてきたかのような彼女たちは、果たしてそこで大きな実を結ぶことができるだろうか。次週、いよいよ最終週。その大きな実りを見届けていきたい。

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