朝ドラ【風、薫る】亀吉(三浦貴大)の再登場「母ちゃん見習ってわがままに生きろ」に、元夫婦の間に流れた時間を感じた
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田幸和歌子
1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。近代看護界の先駆者となった2人の女性を主役とする物語。「風、薫る」のレビューで、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください
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>>朝ドラ【風、薫る】直美(上坂樹里)が再び向き合う因縁…寛太(藤原季節)の“金儲け看護”と腐れ縁の行方「これでよかったんだよ、私とシマケンさんは」
『明治のナイチンゲール 大関和物語』(田中ひかる著・中央公論新社)を原案とし、激動の明治時代を駆け抜けた二人のナースを、見上愛・上坂樹里のダブル主人公として描くNHK連続テレビ小説『風、薫る』。
第24週のサブタイトルは「環」。そのタイトルの通り、りん(見上愛)の一人娘の環(瀧七海)を軸に描かれていく展開となった。
環はかつてりんが結婚していたモラハラ夫の亀吉(三浦貴大)との間に生まれた娘である。りんは亀吉との生活に耐えきれず東京へと飛び出し環を育てるなか、やがて捨松(多部未華子)や直美(上坂樹里)と出会い、トレインドナースへの道へと歩き出していった。
孤児として生まれ育ち〝家族〟という存在に恵まれなかった直美にとっても、環は娘のような存在としてあり続け、直美は〝第二の母〟と呼ばれたりもした。りん、直美、そして前週この世を去ったりんの母・美津(水野美紀)、看護婦会の仲間や団子屋のチュウ(若林時英)など、作中のさまざまな人に見守られながら成長した。視聴者にとっても、りんや直美の看護師としての成長とともに、環の成長は物語の中で見守り続けられてきた。
そんな環も、女学校の最上級生となり、その先の進路を考える時期にきていた。二人の「母」の背中を見て育った環は、看護婦への憧れはあり、りんの働く姿を見学したりもしていた。しかし、環の絵に対する強い思いは前週から描かれており、その道への思いもある。はっきりとした進路を決めかねる日々を送っていた。看護婦として真剣に患者と向き合う母の姿を見て、生半可な憧れだけで選んではいけない世界であることを痛感したこともまた、環の迷いにつながってもいた。
そんな環の前に現れ、道標となりそうなのが、甥っ子の進学に合わせて再び上京したシマケン(佐野晶哉)だ。現在は郵便配達夫として働いているという。髪を切り、少したくましくなったようにも見える。
環の道標としての役割はのちに記すが、まずはそんなシマケンとりんの、久しぶりの再会である。
「何も言わずに出て行って…って謝るのも違うか」
「はい…違いますね」
なんともつつましやかな、二人らしいやりとりである。シマケンは初めて身を粉にして働き、ようやく人並みになれた気がすると、少し照れたように笑う。
突然姿を消したことを責めるでもなく、事情を細かく語ったり聞いたりするでもなく、「行間」で気持ちを読み取るようなやりとりは、なんとも二人らしい。再会後、直美にどうだったか聞かれ、
「これでよかったんだよ、私とシマケンさんは」
というりん。この一言に二人の間に流れた時間、そして戻ることのできない距離が表されているようだった。
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