現代社会の歪みである都会の街中過疎対策にスイーツを。女性菓子職人が、小さなパイ菓子専門店を豊中市の過疎エリアに開業します。
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株式会社キッチンエヌ
ワンオペで作りあげる本物のパイ菓子の数々は、都市の繁栄から置き去りになった地域問題を、美味しさというテーマでカバーしてゆきます。店名は、SACHIKO-KANAMORIパイ菓子研究所（運営・ソイル）
当株式会社キッチンエヌ（兵庫県神戸市、以下キッチンエヌ）が支援する個人事業所・ソイル（大阪府豊中市 代表：金森幸子）は、長年、産業フードプロデューサーとして当社で培った「食で行う地方創生」や「過疎対策のノウハウ」を念頭に、自身の専門である洋菓子の技術を生かしたSACHIKO-KANAMORIパイ菓子研究所を2025年12月12日午前10時に開業することになりました。
地域課題とスイーツの関わり合いで生業をたてる事業をご紹介します。
◆開業する背景
同菓子店舗の所在場所は、大阪府豊中市豊南町西。同エリアの人口は2025年に4000人と5年前から比べて5％減少し、今後もその流れが止めづらい地域。高齢者比率は33.4％と高く、全国平均の29.3％（統計局）に比べはるかに高い状態です。ソイル代表の金森幸子は、キッチンエヌの業務の中で高知県の限界集落対策事業の現地スタッフとして赴任した経験から、こうした環境にこそ、食の役目が重要であることを体得しており、今回開業の動機の一つとなりました。
華やかに催された関西万博の時であっても、ポツンと大阪の一角で取り残される、まるで都会のブラックホールのような地域。この疲弊感を払拭するためには、大きな都市計画も重要ですが、小さなコミュニティーも重要であることは間違いありません。
2020年から5年間の人口減少グラフ （縦軸：人口、横軸：年）
豊中市にありながらも人口減少が続く「街中過疎」の現状2020年から5年連続で人口減少が続く大阪府豊中市豊南町西エリア。
同地域は５年前から５％の減少となり、これと言った大きな開発も見当たらず、今後も歯止からかからない状況。
同エリアの年齢別棒グラフ（2020年国勢調査より） （縦軸：人数、横軸：年齢で右端が75歳以上から順に5歳ずつ下がる）
65歳以上の高齢者比率は33.4％と全国平均29.3％より高い。高齢者比率が高くなり、転入の機会が少ない同地域は、地方の限界集落と同様の傾向がみられる顕著な地域。
◆街中過疎対策として食が出来る事柄
過疎地の食の特徴は、人口減少と高齢化による「買物困難者」の増加、地元商店の減少や閉店、移動販売や宅配サービスへの依存、そして地域食文化の維持が難しくなる点にあります。地方と異なり都会にはコンビニエンスストアやスーパーマーケットの数はあり利便性には事欠きませんが、地方同様一人住まいの人々が増え、自然にコミュニケーション不足になってゆきます。これらの対策としてキッチンエヌでは行政からの依頼を受け、人が集まりやすい食施設を幾つか作ってまいりました。
中でも高知県奈半利町の高齢者コミュニティ型食販売施設「奈半利のおかって」、同じく高知県沢渡にある茶農園が営むカフェ「あすなろ」などは、その成功事例です。ソイル代表の金森はこれらの施設に赴任を命じられ、開業前から現地で数か月滞在して苦楽を共にすることで、食が人と人をツナグのだということを実感してゆきました。そして経験した人だからわかる「食のもつパワー」を、この街中過疎の地で発揮することになったのです。更に、元々菓子職人でもあったため、ほっとする時間に必要な甘味の重要性を理解しています。そこで得意のパイ菓子というツールで地域を美味しい香りで包んでゆくことに挑戦します。
高知県奈半利町の駅前にある「奈半利のおかって」。地域の高齢者と子供たちの集い場を、地元主婦たちのお惣菜が笑顔をつなぐ。
日本のダージリンと有名シェフが例えた高知・沢渡にある茶農家が営むカフェ「あすなろ」。人里離れているにもかかわらず、毎日多くの人がやってくる。
パイ菓子研究所を運営する金森幸子。これからの人生をパイ菓子に賭けると意気込む。
地域課題をスイーツのチカラで解決の糸口を求める。ソイル代表の金森は、既述の経験を活かして難しい立地で店を開ける。
「何をやってもこの地では無理。ましてや菓子屋など論外と、店前を通る人に面と向かって言われる場所です。でも、小さな子供が良い香りがするといって、準備中の工房に笑顔で入ってきてくれたとき、希望が湧きました。子供たちと大人を菓子でつなげば光は見えると。」
小さなラボからの美味しい情報発信に、未来を重ねてゆく。
☆販売する商品
そんなソイル・金森が作りあげる肝心の商品は、北海道産のバターを100％使用した折込パイ生地のパルミエ（ハート型のパイ）を味違いで5～8種、塩味のパイが種前後、6～8種の練り込みパイ（クッキー）は、過去に修行した洋菓子店で鍛えた味作りで、どれも折り紙付きの美味しさです。パイ生地研究所という名前通り、様々な味や形を追求しています。中でも京都産非加熱の甘酒を使用したパイ生地は、使用する国産小麦粉の美味しさを引き立て、どこにもない飽きの来ない味を作り出しました。価格は5～6個入りで300円前後と、年金で生活される方々でも、お子様でも求めやすい価格にセーブしています。これはワンオペだから出来る価格でもあります。
手作業で一つ一つ折り込み、焼き上げた小さなパルミエ（源氏パイ）が売り。年齢の高い方々にもなじみのあるカタチにこだわりました。
様々な形のパイは見ているだけでも楽しく思ってもらえるものをご用意。
折込パイと並行してサブレ（練り込みパイ）も併せて販売します。お茶のお供にも最適。価格も5～6個入りで300円前後と安めに設定。
店舗看板は、パイをモチーフにした温かい形を選んだ。
☆今後の目標
ワンオペで営業しますので、まずは毎週金曜日の午前10時～午後5時までの週一回のペースで地域とのコミュニケーションを図りながら、徐々に営業日を増やしてゆくことになります。
販売するパイ菓子は若い人たちにも気に入っていただけたり、お子様も楽しめる動物形のものを販売を増やし、この町に少しでも多くの若いお菓子好きな人たちが集ってもらいたいと考えています。
また、お菓子の種類やその他コーヒー、紅茶なども販売品目を増やし、地域に根付くパイ菓子屋に成長してゆきます。
これらは小さな取り組みではありますが、食が担う街中過疎対策へ一矢報いるこを信条として、年齢を超えた明るく活気のある地域コミュニティー創生を図ります。
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