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阿川佐和子さんが語る【ワクワクを見つけるヒント】とは?「嫌なことも人に話せば笑い話になる!」

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ゆうゆう編集部

ささやかな楽しみを見つけるのも面白い

今、阿川さんがワクワクするもののひとつが着付け。 68歳にして自己流で修行中だ。

「実家の片づけをしたら、亡き母の着物が大量に出てきました。その着物を自分で着られるようになりたいと思って。でも私、お稽古は長続きしないの。移り気で、そのときそのときで新しいものに目移りしてしまうから継続力がない。でも着付けだけは続けよう、数打ちゃ少しずつうまくなるだろうと思って、動画などを見ながら挑戦しています」

長引くコロナ禍で、家の中でのささやかなお楽しみもいろいろ。
「小さなベランダで、食べたびわの種を7つほど土に埋めました。どれか芽が出るかなと思ったら全部出ちゃって、困るほど育っています(笑)。いただいた花束に元気できれいな葉っぱがあったから、それを何となく土に植えたら育ったり。朝『芽が出たかな』とドキドキして、『あ、出た!』と興奮して面白がることはいっぱいありますよ」

阿川さんの手にかかれば、毎日の料理だって「面白い」。 たとえば前の晩に作ったカレー、翌日には冷蔵庫の残り物を加えて新たな一品に。
「残り物をどんどん入れるから、カレーがちっとも減らないの(笑)」

生で食べるには手遅れの果物は煮てジャムに、しけた海苔はだしやしょうゆで煮つめて佃煮に。「それをガラス瓶に入れて、みんなに分けて喜んでもらえると、とても幸せな気持ちになります」

捨てるしかないと思うものでも工夫して生き返らせ、そこに喜びや幸せを見つけるのが阿川流。
「ケチなんです、私。この前実家で、大学の入学祝いにオーダーで作ってもらったガンチェック柄のスーツを見つけました。スカートのホックが全然留まらないんだけど、ごまかせば何とか着られる。これを着て、私は岸田総理にインタビューしましたよ。ホックは外したままだけど(笑)、今でもまだ着られると思ったら嬉しいじゃない?」

とはいえ、先々のことを考えれば断捨離という言葉も頭をよぎる。
「何度、断捨離しようと思ったことか。目の前に並べて『いらないわよね?』『でも、まだ着られるわよね』と葛藤して、結局捨てられない。これじゃあ死ぬまでモノは減らないと思うけど、まあいっか(笑)」

阿川さんのワクワクを見つける ちょっとしたヒント

●小さな幸せを見過ごさずにちゃんと面白がる
春先、ベランダに小すずめがすみついた。「ぴーちゃんと呼んで飼っている気分に。でも、あるとき飛んでいって二度と帰ってこなかった。毎日の楽しみだっただけに、ぴーちゃんロスに」

●どんなことも笑い飛ばしてくれる女友達とつき合う
中高時代の仲よしグループで食事をしたり旅行に行ったり。「50歳になったときは『50の旅』で熱海へ、『60の旅』では軽井沢へ。もうすぐ『70の旅』、ハワイに行こうと話しています」

阿川佐和子

あがわ・さわこ●1953年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。報道番組のキャスターを務めた後、エッセイスト、小説家として活躍。2012年『聞く力─心をひらく35のヒント』がミリオンセラーに。『週刊文春』で対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」を連載中。近年は映画『カラフル』、ドラマ「陸王」などに出演し、女優としても活躍。

※この記事は「ゆうゆう」2023年1月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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