【女性のトイレの悩み】水分は「たっぷり飲む」「ちょびちょび飲む」どちらが正解?【頻尿・尿漏れ】
頻尿や尿漏れが気になるから、水分をとるのはひかえよう。そんなふうに思って行動することが、最近、増えていませんか。とくにマチュア世代は、トイレのお悩みが多くなります。一方で、水分は体にとって欠かせません。現役の医師でYouTuberとしても大人気のドクターハッシー先生に、水分のとり方について教えていただきましょう。
アフター更年期から、女性の頻尿や尿漏れが急増する
女性の頻尿や尿漏れは、出産後や、更年期を過ぎた頃、アフター更年期から60代、70代にかけて急激に増えてきます。私も、クリニックや訪問診療先で、頻尿や尿漏れに悩む女性からしばしば相談を受けますが、よく聞かれる悩みは――。
「咳やくしゃみをしたときにもれてしまいます」
「外出先で尿漏れすると困るので、旅行や映画に誘われても真っ先にトイレのことを考えてしまいます」
などです。初めての尿漏れにショックを受けて、ひきこもってしまう人もいるほど。トイレの悩みは本人にとって深刻です。
頻尿や尿漏れには、尿をためる「膀胱」をはじめ、膀胱を取り巻く「筋肉」や「神経」、排尿をコントロールしている「脳」など、体のいろいろな部分が関わっているので、さまざまな角度から考えていかなければなりません。
女性の場合は、出産を経験すると、膀胱や尿道を支えている「骨盤底」の筋肉が損傷を受けたり弱くなったりしがちです。また、更年期を過ぎたころ、アフター更年期から、女性ホルモンの分泌が低下する影響も加わります。そのため、50代、60代と年齢を重ねるにしたがって、膀胱の組織が硬くなって尿を十分にためられず、骨盤底筋の弱まりとともに尿道の出口もゆるみやすくなってトイレが近くなり、尿漏れを起こしやすくなるのです。
水分をひかえるのは本末転倒
年とともに膀胱にためられる尿の量が少なくなり、トイレをガマンしにくくなるので、水分のとり方には注意が必要です。
「じゃあ、水やお茶を飲まなければいいのでしょ?」と水分をひかえる人がけっこう多いのですが、それは本末転倒、大間違いです。水分をとらないと膀胱が不活発になり、侵入した細菌を尿で洗い流せなくなるので、膀胱に炎症を起こしやすくなります。膀胱炎になると、ますます頻尿や尿漏れがひどくなる、という負のスパイラルに陥ってしまいます。
また、旅行の時に普段よりも水分をひかえる人がいますが、旅先で歩いたり温泉に入ったりして汗をかくと、体内の水分が不足した状態になります。これが脱水です。脱水がひどくなると血管に血のかたまりが詰まって、最悪の場合は脳梗塞を起こすことさえあるのです。水分はつとめてとるようにしてください。
そこで、おすすめの方法を提案しましょう。
水分は、こまめに少しずつ飲む
まず、水分をガブガブ飲まないこと。少しずつこまめに、ちょびちょびと飲むことをおすすめします。舌からも舌下吸収といって水分が吸収されるので、口に含ませるだけでも水分補給に役立ちます。
なぜ、たっぷり飲まずに、少しずつ何度も飲むのがよいのでしょうか。
体内の水分量は、常に一定になるように腎臓がコントロールしています。体に必要のない水分は、汗か尿として排出されます。水分を少しずつとると、汗としてじわじわ排出されるのですが、まとめてガブガブ飲むと、そのときに必要のない水分が尿となって膀胱にたまり、一気に排せつされてしまうのです。
特に汗をかかない冬場は、水分のとり方が排尿に直結します。
家にいるとき、水分を少しずつとるのは難しくないでしょう。外出時には、麦茶や白湯などを入れた水筒をバッグに入れておき、何度も少しずつ、こまめに飲むのがいいですね。出先で空になったら、水などを補充するとよいでしょう。