福原遥がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『舞いあがれ！』の第19週「告白」が放送された。

今週は悠人（横山裕）と意外に好相性な人物と、濃い脇役の2人に注目したい。

悠人のインサイダー疑惑が報じられ、めぐみ（永作博美）や舞（福原）が悠人に電話してもつながらない中、雨の中で倒れていた悠人を発見したのが久留美（山下美月）の父・佳晴（松尾諭）だった。佳晴が悠人を自宅に連れ帰ると、帰宅した久留美は悠人が低体温症になっていることに気づき、適切な処置をする。

迎えに来ためぐみと舞に対してぶっきらぼうな態度をとる悠人だが、めぐみと舞がどれだけ心配していたか考えろ、家族を頼れと久留美に叱られる。この言葉が悠人を直接変えたわけではないにしろ、悠人の膨れ上がった孤独に小さな穴を開け、出口を作ってくれたのは明らかだろう。

大人になってから悠人と久留美が顔を合わせるたび、「もしかしてこの二人、後に？」と思わせる気配はあった。しかし、考えてみれば、本作の中で、別世界の住人に見えて最も近い場所――一般人の味わうことのない「華やかな栄光と、どん底の挫折」を知るのが、佳晴と悠人だ。思い起こすと、幼い頃に舞と久留美が父たちを元気にするため、模型飛行機を校庭で飛ばす際、ちょっぴりバツが悪そうに遅れてやってきた佳晴と、その一団に混ざらず、1人離れた場所で微かに嬉しそうな表情を浮かべて見ていた悠人に、似た匂いを感じるところもある。

そんな悠人を見つけるのが佳晴だったのも運命的だし、何しろ久留美は「挫折した人」のケアも、簡単に立ち直れるわけではないことも、誰より理解し、誰より根気よく向き合うことができる女性だ。悠人にとっての理解者は、実家に立ち寄らずにいつもお好み焼きを食べにだけ行く「うめづ」だと思っていたが、意外な理解者がここにもいた。

悠人は帰宅後、浩太（高橋克典）の「歩み」ノートを読んで、浩太が自分を認めてくれ、理解しようとしてくれていたことを知り、涙を流す。そして、めぐみにカレーを作って欲しいとリクエストする。発熱に苦しむ舞の環境を変えるため、舞とめぐみが五島に行っている間、浩太が何度も作ってくれたのがカレーだったためだ。カレーを食べ、思い出をしみじみ語った悠人は、東京に戻って警察に出頭する。

一方、今週視聴者を大いにざわつかせたのが、貴司（赤楚衛二）の短歌が好きだと言って、デラシネを訪ねて来た秋月史子（八木莉可子）。史子は自作の短歌を読んでくれと貴司に言い、評価してもらうと、突然泣き出す。短歌は自分の命で、それを否定されたら生きていけない、人に見せるのは怖かったが、貴司の短歌を読んで貴司なら見せられると思ったと言うのだ。