【どうする家康!】ミステリアスな巫女・千代のモデルと噂される、望月千代女とは?武田信玄の命を受けた「歩き巫女」を統括したか
公開日
更新日
鷹橋 忍
徳川家康というと、どういうイメージをもっていますか? 2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では、どんな家康が描かれるのでしょうか。戦国武将や城、水軍などに詳しい作家 鷹橋 忍さんに、知られざる徳川家康の姿や時代背景などについてひも解いていただきましょう。
大河ドラマ『どうする家康』第10回「側室をどうする!」では、家康が北香那さん演じるお葉を、初めての側室に迎えました。
聡く、凜とした魅力的な女性でしたね。
また、阿部寛さん演じる武田信玄のスパイであることが判明した、古川琴音さんが演じる千代の動きも気になります。
そこで今回は、お葉と千代の二人を取り上げたいと思います。
まずは、お葉からみていきましょう。
お葉のモデルは西郡の局
お葉は、家康の最初の側室・西郡の局(西郡の方とも 蓮葉院)がモデルです。
西郡の局は、鵜殿長忠の娘といわれます。
鵜殿長忠とは何者なのでしょうか。
長忠は上ノ郷城(愛知県蒲郡市)を本拠とする鵜殿宗家(上ノ郷家)の当主・鵜殿長持の二男で、野間口徹さんが演じた上ノ郷城主の鵜殿長照の弟にあたります。
長忠は分家である柏原鵜殿家の養子となり、永禄5年(1562)の「上ノ郷城の戦い」において、兄の長照が家康に攻められ、戦死(ドラマでは自害)したときには、すでに家康に仕えていたようです(小川雄・柴裕之編著『図説 徳川家康と家臣団』)。
西郡の局はこの長忠の娘とされますが(「徳川幕府家譜」では、鵜殿長持の娘)、実の娘ではなく、加藤一族の娘を養女に迎えたという説もあります。
加藤一族の娘だった?
西郡の局に関して、蒲郡市誌編纂委員会、蒲郡市教育委員会編『蒲郡市誌 本編』には、「加藤一族の女 時姫」、伊藤天章『蒲郡史談』には、「町の加藤善左ェ門の娘 おふうの方」と記されています。
いずれにせよ、西郡の局は家康の側室となります。
側室となった時期は定かでありません。
ドラマでも描かれたように、西郡の方は家康の二女となる督姫を産みます。
出産時期は一般に永禄8年(1565)とされていて、ドラマでもこの説をとっているようですが、別説である天正3年(1575)の可能性もあるといいます(小川雄・柴裕之編著『図説 徳川家康と家臣団』)。
西郡の局に関しては、記録にはあまり多くのエピソードが残っていないのですが、ドラマのお葉なら、今後も生き生きと活躍してくれそうな気がします。