【どうする家康】松山ケンイチ(本多正信)の毅然とした態度が印象的! これから、どうする正信?
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鷹橋 忍
徳川家康というと、どういうイメージをもっていますか? 2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では、どんな家康が描かれるのでしょうか。戦国武将や城、水軍などに詳しい作家 鷹橋 忍さんに、知られざる徳川家康の姿や時代背景などについてひも解いていただきましょう。
大河ドラマ『どうする家康』第9回「守るべきもの」では、家康と市川右團次さんが演じる空誓上人ら一揆勢との間に和議が結ばれ、三河一揆は終結。松山ケンイチさん演じる本多正信は、三河を追放となりました。
門徒の子どもを抱きしめる空誓も、「悔いなければならんのは殿」と毅然と言ってのける正信も印象的でしたね。
二人がどうなるのか、気になりませんか。
そこで今回はドラマのネタバレにならない範囲での二人のその後と、ドラマでは描かれなかったエピソードをご紹介したいと思います。
空誓の身代わりになった円光寺の順正
まずは、空誓の身代わりとなることで、彼の命を救ったとされる桜井円光寺(愛知県安城市桜井町)の14代住職・順正の伝承をご紹介しましょう。
三河一揆の際、小川安政(愛知県安城市)で、家康および、寺島進さんが演じる水野信元の軍勢と、空誓が住職を務める本證寺から繰り出してきた一揆勢との間で、激しい戦闘が行なわれたとされます(安城市歴史博物館『特別展 家康と一向一揆』)。
一揆勢は苦戦を強いられ、このままでは家康勢に、本證寺を襲撃される可能性がありました。それを阻止するため、順正は「本證寺の空誓と我のことなり」と名乗り、自ら命を絶ちました。
空誓が亡くなったと信じた家康勢は、本證寺に攻め入ることなく引き返したと伝わります。
史実であるか否かは不明ですが、真実ならば、順正は身代わりとなり、空誓と本證寺を守ったのです。
家康は正信の悪知恵を実行した?
ドラマでは、一揆勢との和議にあたり、家康は空誓の目を見て「寺を元に戻す」と約束しました。
ですが、元に戻すわけにはいきません。
ドラマでは、そんな家康に正信が「寺があった場所は元の元は野っ原なり。元の野っ原に戻す」と、得意の悪知恵を授けました。
この悪知恵を、正信が家康に授けたという確かな証拠はありません。
ですが、家康が正信の悪知恵と同じことを言ったという記述が、家康・秀忠・家光の3代に仕えた大久保彦左衛門忠教が子孫に書き残した自伝『三河物語』にはあります。
空誓はどこに行った?
和睦後、家康は和議を破り、本證寺などの一向宗(浄土真宗本願寺派)の諸寺に改宗を迫りました。
寺院側は、「前々のごとく(以前と同じようにする)」とする家康の起請文があると、異議を唱えました。
ですが、家康は「前々は野原だったのだから、前々のように野原にせよ」と言い放ち、寺を破却し、僧侶たちを三河国から追放したといいます。
空誓も加茂郡菅田和(豊田市)へ逃れ、20年間、洞穴に隠れて暮らしたと伝わります。
空誓が再び家康や、私たち視聴者の前に姿を現す日は来るのでしょうか。