年金5万円でおしゃれも楽しむ!72歳の人気ユーチューバーのつらくない節約術とは?
昨年、71歳でユーチューバーデビュー。ファストファッションやメルカリなどで手に入れたプチプラアイテムでおしゃれを楽しむ動画が、瞬く間に大人気となったロコリさん。年金は月5万円でも幸せを積み重ねていく、自由で気ままなひとり暮らしの秘訣を伺いました。
PROFILE
ロコリ
ろこり●1951年福岡県生まれ。
認知症の母の10年にわたる介護を終え、69歳からファストフード店に勤務。
71歳でYouTubeチャンネルを開設。プチプラファッションのコーディネートが人気を呼び、4カ月で再生累計100万回超えを達成。
常に新しいことに挑戦する日々を送る。
YouTubeチャンネル「70代 ロコリ」
『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』
プチプラコーデ術や築50年の家でおしゃれに暮らす方法など、年金5万円で毎日を楽しむ秘訣が満載。不安に負けず新しい挑戦を続ける姿勢に励まされる一冊。
1540円/KADOKAWA
69歳で直面した低年金生活への不安
プチプラコーディネートとは思えない、カッコよくて若々しいカジュアルファッションをユーチューブで披露するロコリさんだが、実は「ずっと人生の迷子だった」と言う。無理もない。これまでの人生は手ごわいものだった。
アパレルやデザインの会社勤務を経て、若くしてブティックを経営するも、35歳のときに2000万円の負債を背負って廃業。百貨店の販売員をしながら20年ほどかけて返済した。しかし、返済が終わりしばらくすると、同居の母が認知症を発症。ロコリさん59歳、母は85歳。約10年の自宅介護ののち母を見送ると、時を同じくして今度は勤めていた百貨店が閉店に。70歳を目前にしたロコリさんに残されたのは、築50年の古い家と、自分のお葬式代に充てるわずかな貯金、そして月5万円の年金のみ……。
「介護が大変でも、お勤めしているときは仕事があるから大丈夫と思っていました。それが母も仕事も失い、さすがに落ち込んで。でも、今思えばそのときが私の再出発地点だったのだと思います」
ある日、久しぶりに散歩に出ると、そこでマクドナルドの新店舗に遭遇。シニアも歓迎というチラシを見て、恐る恐る応募し、アルバイトとして採用された。
「70代で、マックでバイト、と言うと驚かれます。でもこれまで経験したことのない仕事で、若い人たちと一緒に働けるのがとても嬉しい。体力的にはしんどいこともありますが、『お金をもらえるジム』だと思って楽しんでいます」
こうして年金5万円とマクドナルドでの収入約3万円がロコリさんの生活費となった。
「ぜいたくはできないけれど、かといってケチケチもしたくない。使うところと使わないところ、メリハリをつけて日々を楽しみたいです」
もともとパソコンなどデジタル系が得意で、ブログも書いていた。そこで、節約生活をしながらネットで動画編集などを学び、昨年、71歳でユーチューバーデビューを果たした。
プチプラファッションの極意とは
ロコリさんの人生に欠かせないのがファッション。おしゃれをすると気持ちが上がり、背筋を伸ばして上を向く力になるという。
「プチプラ」というとおり、ロコリさんのファッションはユニクロやGU、しまむらなどの服が主体。そこにメルカリなどで安く手に入れたデザイナーものなどを組み合わせている。
プチプラでもおしゃれに見える秘訣はどこにあるのだろうか。そのこだわりを伺うと、「安っぽく見えないことが一番大事ですね。シニア世代はきれいな色を取り入れるといいと思います。ただ、似合わない色だと派手になったり安っぽく見えたりしがちです。私はパーソナルカラー診断をしてみてブルーベースだったので、それを基準に似合う色を選んでいます。また、言葉で言うのは難しいのですが、服自体にチカラのあるものってあるんですよね。色やシルエット、ディテールなど、シンプルでもどこか主張のあるもの。何にでも合う無難なものより、そういうオーラのあるものを選ぶようにしています」。
こればかりはおしゃれ好きなロコリさんの眼力かもしれないが、その着こなしを見ていると何となくわかる気がする。
「プチプラ大好きな私ですが、眼鏡と靴は少々高くてもいいものを選んでいます。顔にはアート的なものを添えたいし、健康の源である靴にも妥協はできません」
眼鏡はベルギーのブランド「テオ」を愛用。上が透明、下が黒の個性的なフレームが、すっかりトレードマークとなっている。そして、靴はドイツの健康靴「ストロバー」。おかげで、ひざの痛みが楽になったという。
「私は、アクセサリーはつけないのですが、眼鏡と靴にいいものオーラがあると、コーディネートがぐっと締まる気がします」
また、パンツ派のロコリさんだが、丈はくるぶしまでと決めている。
「昔、雑誌で見たフランスの女優さんの真似です。足首が見える少年っぽい雰囲気が好きなんです」
さらに下の写真のようにシャツの裾を結んだり、ジャケットを肩がけするなど、着方にも工夫する。そんな創意工夫に満ちたおしゃれだからこそ、ユーチューブで人気なのだろう。