羽田美智子さん「私の旅は『人に会いに行く』がテーマ。『今しかない』出会いを大切に」
旅関連の番組や旅に関する著書も多い羽田美智子さん。幼い頃から旅に憧れ、20代からは、公私にわたって文字どおり「旅ざんまい」の日々を過ごしてきた羽田さんに、今改めて心に刻む旅のテーマとは、醍醐味とは何か、お話を伺いました。
目次
PROFILE
羽田美智子
はだ・みちこ●1968年茨城県生まれ。88年デビュー。映画『RAMPO』のヒロイン役に抜擢され、第18回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。以後、映画、テレビドラマで活躍。主な出演作に「特捜9」シリーズ、「おかしな刑事」シリーズ、「花嫁のれん」シリーズ、NHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」など。2019年4月にオンラインセレクトショップ「羽田甚商店」(https://hadajinshop.co.jp/)をオープン。舞台『沼の中の淑女たち』(東京は9月27日~10月3日)に出演予定。
20代で感じたものと、50代の今、感じているもの
中学生のときの英語の授業で、最初に作った英文が「I want to go abroad.(私は外国に行きたいです)」だったという羽田美智子さん。その頃から旅への憧れは強く、デビューのきっかけとなったのも、旅行会社のキャンペーンガールに選ばれたことだった。女優の仕事を本格的に始めてからは、さらに公私問わず世界各地を訪ねる機会に恵まれてきた。
「子どもの頃から『大人になったら、世界のいろんなところに行きたい』と願っていたんですけれど、幸運なことに、それは実現できたかなと感謝していますね。先日も城崎温泉に行ったあと一度戻って、すぐに高野山へ。実はこのあと、すぐ長野に行くんです。改めて、私の人生って旅だなぁと思います(笑)」
今年に入ってから、旅に行く機会が再び増えてきた。最近訪れた高野山は、20代、30代に続き3回目。「40代がすっぽり抜けて15年ぶり」だったが、かつてと見え方が全然違うことに驚いたという。
「昔は観光地であり、訪れる私自身もよそ者という感覚だったのが、空海がどんな人かということを知って臨むと、以前よりも空海と自分、高野山と自分、という意識で深く捉えられるようになって、単なる観光地巡りとは違う意味合いが出てきたように感じたんです。それはやはり私自身もそれだけ人生経験を積んだということがあるのかもしれません。同じ場所でも、20代の頃と50代になった今とでは、こんなにも捉え方が違うのかと改めて感じています」
コロナ禍の自粛期を除いて、30年間ずっと玄関にスーツケースを置いてある人生だという。そのときどき、それぞれの年代でいろいろな旅をしてきた。旅といえば「海外」だと思っていた20代の頃は、バブルの名残の時期だったこともあり、飛行機をアップグレードしたり、ブランドショップを巡ったりするのが楽しかったことも。
しかしそんなあるとき、日本通の外国の人たちから、日本についていろいろ尋ねられる場面に遭遇。彼らの質問に十分に答えられない自分に愕然とした。
「『ミチコは日本人なのに、どうして日本のことを知らないで海外にばかり来るの?』『自分の国をもっと知ったほうがいいよ』と言われて、ハッとしたんですね。外国の方に日本の魅力を教えてもらったことがきっかけで、日本国内を旅することにも目覚めていきました」