バブル時代の贅沢三昧から年金5万円でやりくりする紫苑さん・72歳。衣服費ゼロ円で、こんなにおしゃれ!その秘密は?
ウエストがきつくなったスカートに、着物の布を縫い合わせて
紫苑さんが見せてくださったのは、手持ちの着物を利用して手作りした洋装のコートや、いくつかの着物をパッチワークして新たによみがえらせたカジュアル着物など。
中でも目を見張ったのは、ボタニカル柄のプリントスカートと、銘仙(大正、昭和期に日常の着物としてよく使われた絹織物)の布を縫い合わせた斬新なスカートです。
「お気に入りだったボタニカル柄のスカートは、残念ながらウエストが入らなくなってがっかりでした。ウエスト部分だけに別布を足そうと試みましたが、うまくいきません。そこで、4枚はぎスカートの両サイドをほどいて、処分候補だった着物の布をウエストから裾まではぎ合わせてみました。一見ミスマッチな感じですが、花柄と銘仙の縞の取り合わせが意外と面白い味わいに。プラスした両サイドにもギャザーを寄せて、ゴムを入れたらサイズ調節も楽になり、フレアも増えて華やかでオリジナルな1枚になりました」
なるほど。ウエストのベルト部分だけを広げるのではなく、ウエストから裾までの長さの布地を縫い合わせて全体にボリュームを持たせれば、サイズアップとイメージアップの両方が一度にかないます。紫苑さんの豊かな発想力は、こんなところでも威力を発揮しているのですね。
「スカート本体もプラスする別布も手持ちの衣類を利用すれば、かかる費用はゴム代くらい。家の中を見回すともう宝の山です(笑)。リメイク素材には事欠きません」
スカート×別布の縫い合わせ術の成功に勢いを得て、手持ちのスカートやワンピースを次々とリメイク。
紺一色のスカートには、別のタータンチェックのスカート布を縫い付けて、リフレッシュ。
ネイビー×白のドット柄のスカートは、よく見ると、フロント部分に同系色×大き目の水玉の布をプラスして切り替えを入れたデザイン。ウエストから裾まで水玉違いの別布をはめこんだだけで、とても凝ったデザインに見えます。
「これは、30年前に買ったワンピースのスカート部分を活用しました。ワンピースの見頃は、背中の大きく開いたブラウスにリメイクしています」
これらのリメイク服は、すべて手縫いで仕上げています。
「この家に引っ越したときにミシンを処分してしまったので、手縫いでチクチク縫っています。昔から針仕事は好き。技術はいまいちですが、時間を忘れてチクチクしていると、こうすればもっと素敵になるかな、とアイデアが湧いてきて楽しいし、ストレス解消になります」