襟と袖の部分リメイクで、シャツやブラウスをオリジナルに！

スカートだけでなくワンピースやブラウスも、襟や袖を部分的にリメイクするだけでオリジナルな服に生まれ変わるといいます。

「よく着ていたブラウスやワンピースでも、年齢を重ねてくると襟元が貧相に見えたり、色や柄は好みなのに、なんとなく似合わなくなっていたりします。そんなときには、似合わなくなったと感じるところ、とくに襟や袖などを部分的に、自分好みにリメイクするだけで服が輝きだし、自分自身も生き生き見えるから不思議です」

洋服を全部ほどいて仕立て直すのは大変ですが、部分リメイクなら、すき間時間に少しずつ手をかけるだけでガラリとイメージが変わって効果満点です。

「ブルーのダンガリーの前開きワンピースは、襟元がさみしい感じ。そこで、パッチワークにしていた刺し子の布を襟の形にカットして縫い付けました。さらに、30年前の赤い更紗のブラウスの袖を利用して襟の裏からちらりと見えるようにしたら襟元に表情が生まれて、ぐっと個性的なワンピースになりました」

紫苑さんは、以前から好きだった刺し子に挑戦し、布巾やパッチワークにしていたそうですが、その作品を襟のリメイクに利用したのです。
「寒い地方で生まれた刺し子は、貴重な布を長持ちさせ、防寒にも役立つ生活の知恵です。刺し子を襟に使うアイデアは、ある映画の中で樹木希林さんが着ていた刺し子のワンピースがとても素敵で、目に焼き付いていたから。ワンピース全体の刺し子は技量的に無理でも、襟に刺し子の布を縫い付けるだけなら、さほど手間も時間もかかりません」

襟に一味加えただけで、シンプルなワンピースが手の込んだ印象に格上げされました。映画のワンシーンもリメイクに生かす柔軟な考え方が、お金をかけなくても個性的なおしゃれを生み出すベースになっているのですね。

刺し子の布を左右の襟に縫いつけて部分的にリメイクするだけで、リサイクルショップで500円で買った紺のワンピースがおしゃれな1着に早変わり。前を開けてコート風にも使えます。

紺のシャツブラウスの襟に繊細なレースをあしらっただけで、上品さと高級感がアップ。

「娘の就活用のシンプルな白いブラウスは、襟と袖の両方をリメイクしました。元の襟ははずし、レースの丸襟に変更。幅に余裕があった袖は、一部をプリーツにして布地が重なるようにしています。縫い代を2重にして模様を浮き上がらせる、韓国の伝統工芸、ポジャギ風にアレンジしたのがミソです」

ブラウスの裾は、フロント部分を三角形に織り込み、前を短く、後ろは長めの今っぽいスタイルに仕上げています。

ファッション業界でも手仕事の魅力が見直されている今、20～30年前に買った服も、部分的なリメイクでオリジナル感が加わり、古臭さを感じさせません。

思いがけない工夫で、年齢とともに変化する体型や雰囲気にフィットさせつつ、今っぽいおしゃれなファッションに生まれ変わらせているのです。

自分に似合う色や素材を絞り込めば、衝動買いを防止できる！

新品の服や小物は買わずに、リメイクでおしゃれを楽しんでいる紫苑さん。以前のように、服を衝動買いすることはなくなりました。その理由の１つは、自分に似合う色や素材が絞り込まれてきたから。

「好きな色はブルー系。好きな素材は綿や麻、絹などの自然素材。そんな自分の好みがわかってきてからは、いいな、と思う服や小物があっても、色や素材が好みのものと合わないものは即NG！と判断できるようになってきました。その昔、ブランドものを手に入れたときの喜びは、ショップで浴びる誉め言葉なども含めて一瞬だけでしたが、自分好みにリメイクするようになってからは、本当に似合うものを身に着けているという満足感が続いています。似合わなくなったら、またリメイクし直せますしね」

最近はマイカラーのブルー系に加えて、イエロー系も気になっているそうです。ブルーとの相性もいいので、想像を膨らませるのが楽しみです。


撮影／橋本　哲

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