【オリーブ】の栽培方法と活用アイデア2選|桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活
「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第12回は【オリーブ】です。
本連載の他、桐原春子さんの記事は桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活をご覧ください。
平和の象徴として親しまれる【オリーブ】
オリーブ油の原料となる植物で、平和の象徴として古くから親しまれてきました。樹形や葉色が素敵で人目を引き、クラフトや観賞用としても大人気です。
別名/オリバ
科名/モクセイ科
性質/常緑高木
樹高/7~15m
暮らしに欠かせない伝説的ハーブ
オリーブは地中海沿岸などが原産で、暮らしに役立つハーブとして先史時代から栽培されてきました。
「紀元前3000年にはすでに重要な交易品で、現在に至るまで南フランス、イタリア、スペインなどで長く栽培が続けられています。樹齢1000年以上の木が今なお実をつけるそうで、寿命の長さは伝説的でもあります」と桐原春子さん。
西欧に与えた文化的影響力も多大で、「聖書にもノアの方舟をはじめとして何度も登場しますし、ギリシャ神話では都市アテネの誕生にオリーブが深く関わっています」。
また、オリーブは樹形の美しさでも人を魅了してきました。
「葉の表が暗緑色、裏がシルバーグレーで、姿に異国情緒があります。洋風の住宅や庭に調和し、シンボルツリーにも盛んに利用されています。枝が細めでクラフトにも使いやすいですよ」
健康や美肌作りに役立つ油分が豊富
オリーブの果実にはオレイン酸など良質な油分が豊富に含まれ、実を圧搾して食用油にする他、美容にも利用されます。実を塩漬けにしたものや、タネを抜いてアンチョビーを詰めたものなど、さまざまな加工品が出回っています。
「実は緑色も熟した黒も利用できますが、強い渋みがあるので食用にする場合は渋抜きが必要。包丁で切り目を入れて塩をたっぷりまぶし、容器に入れて冷蔵庫で3週間以上保存。水につけて塩抜きをしてから食べます」
なお、実の収穫が目的の場合は1本では実がつきにくいため、複数の品種を一緒に植えるのがポイント。
「栽培環境は日当たりのよい、やや乾燥ぎみの場所を好みます。鉢植えでも元気に育ちます。葉をよく観察し、害虫がついたら取り除きます」
ひと鉢あるだけで洋風の雰囲気に
2種のオリーブの苗をハンギングポットに入れて外壁に吊るしました。小さな苗でも、つややかな暗緑色の楕円形の葉にオリーブの風格が感じられます。しばらくしたらひと回り大きな鉢に植え替えて。数年後、受粉が順調であれば緑色の実をつけ、完熟すると黒紫色に変化します。