「舞台は楽しい仕事ではない」【斉藤由貴さん】それでも13年ぶりに挑む、理由とは?体力づくりのために実践しているコトも
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ゆうゆうtime編集部
9月9日から日生劇場で上演されるミュージカル『Once』。主演はSixTONES(ストーンズ)の京本大我さん、そして主人公を取り巻く人々の中でも個性的な(saraさん演じるガールの)母親役をつとめるのが、斉藤由貴さんです。58歳とは思えない、華憐で少女のような語り口。それとは相反するような芯の強さを思わせる言葉の一つ一つ。そんな聞くもの全てを惹きつけるような俳優・斉藤由貴さんの今回のミュージカルへの意気込み、そしてハードな舞台を乗り切るための心身の整え方などをうかがいました。
▼次のお話▼
>>58歳・元アイドルの俳優が語る「ついに私にもきたか…」老いを感じた瞬間【斉藤由貴さんのターニングポイント・前編】若い人たちの輝きを見ていると「うれしさ半分、切なさ半分」
―今回のミュージカル「Once」では主演の京本大我さんは30歳、共演者のsaraさんは25歳、そしてそのsaraさんの母親役を現在58歳の斉藤さんが今回つとめるわけですが、こういった若手の役者さんとの共演の際、どんなことを心がけていらっしゃいますか?
斉藤由貴さん(以下、斉藤) 当然のことながら、彼らとは人生の生きている段階が違うわけです。で、彼らはもう命の力が満ち満ちていて、エネルギーが体の中にまだいっぱいあるような状態なんです。その輝きを見ていると、うれしい気持ち半分「私もこういう時期があったな」と自分を振り返る気持ちが半分です。うん、正直、切なさみたいなものもあります(笑)。
でもこうやって若いひとたちの表現を見ることができて、一緒にいられるのは、やっぱり役者冥利に尽きるというか、とても面白い仕事です」
―たくさんの作品で「母親役」をつとめていらっしゃいますが、今回の役どころは斉藤さんにとってはどんな母親ですか?
(斉藤) おかげ様でたくさんの母親役を演じさせていただいていますが、今回はアイルランドの移民の裕福ではない生活が物語のベースにあって、そこで強く生きている個性的なお母さんです。でも「強い」と言ってもやっぱり主役はガイ(京本さん)とガール(saraさん)なので、自分のセリフや自分の歌うシーンなど含めて自分の存在感をどうやって物語の中で適正な分量を保つか、をこれから探っていく段階です。
―それは他の役者さんを舞台上で、不必要にくっちゃいけないという…?
(斉藤) 悪目立ちをしてはいけないし、かといって主張がないのもダメで。つまりオリジナリティを創出できないと自分が依頼された意味がないと思うのです。求められている役割とそれを超えて、お客さんの心に届くものを提供できるという工夫をすることも重要で、でもずーっと出ている役ではないので、バランスをとるのがとても難しいです。
海外旅行はみんなが行く場所に私も行きたい派です(笑)!
―それはやはりベテランの方じゃないと難しい配分ですね。ちなみに舞台がアイルランドということですが、ご自身は実際行かれたことありますか?
(斉藤) いいえ、アイルランドは残念ながら行ったことはないんです。ただ、先日ポスター撮影をした際に舞台衣裳を着用させてもらったのですが、そういう時にすごくヒントになるものはありました。この時代の移民の背景、貧しい感じも含めて、衣裳を着たからこそはじめてつかめるイメージみたいなものがありました。
―ちなみに海外旅行に行かれたら、どういった旅をなさることが多いのですか?
(斉藤) もっぱら「観光地巡り」をしますよ(笑)。その国のメインどころをとにかく一生懸命回るタイプです。
舞台は決して楽しいだけではない。けど絶対、必要なんです
―今年は歌手デビュー40周年の年でもあります。斉藤さんの役者人生の中で今回の『Once』はどういう位置づけになりそうですか?
(斉藤) 今回の舞台、かなり久しぶりなんです。13年ぶりかな。そして俳優としては、舞台でしか築けないコンディションというものがあるんです。映像作品では築き得ない、鍛錬とか訓練とか、もちろん体力的なものもそうです。お客さんの前で直接表現するのもあって、舞台をやるとけっこう落ち込んだり、反省することが多く、私にとって「楽しい仕事」ではないんです。でも絶対「必要な仕事」なんです。
―他のお仕事に比べて舞台が落ち込んだり、反省したりすることが多いんですね。実はアイドル歌手の仕事になかなかなじめなかった、と斉藤さんが過去お話されていたインタビュー記事を読んで、意外に思ったことがありました。舞台は斉藤さんにとって得意な分野なのでしょうか?それとも苦手な分野なのでしょうか?
(斉藤) 舞台は毎回、毎回「挑む」という言葉が当てはまるかなと思います。稽古に入る前にある程度体力づくりもやらなければいけないですし、ボイストレーニングもそろそろ入れていく予定です。
―具体的にどんな体力づくりや健康維持をされていますか?
(斉藤) 一応、ジムには入っています。もっぱらランニングマシーンで走ってます。あまり筋力マシーンを使ってなくて…。でも最近プライベートで旅行をしていて、その時たくさん歩く機会があって、それで、ものすごく筋肉痛になってしまって。その時「筋力落ちたなぁ…」って。だから筋力つけなきゃと思っています。
【出演情報】
『Once』
2025年9月9日~28日/日生劇場(一般前売開始 2025年8月2日)
公式サイト/https://www.tohostage.com/once/
脚本 エンダ・ウォルシュ、音楽・歌詞 グレン・ハンサード/ マルケタ・イルグロヴァ、原作 ジョン・カーニー(映画「ONCE ダブリンの街角で」脚本・監督)、翻訳・訳詞 一川 華、演出 稲葉賀恵
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撮影/三角茉由 スタイリスト/石田純子(オフィス・ドゥーエ) ヘア&メイク/冨永朋子
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