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「熟年離婚をしたら、夫の年金の半分をもらえるー」は間違い!?プロが教える「年金分割制度」とは?

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横田頼子

年金分割の請求期限は、離婚後2年以内

年金を分割するには、当事者の一方、または双方からの請求が必要です。離婚したあとからでも請求は可能ですが、期限は離婚から2年以内。手続きは、年金事務所や年金相談センターなどで行えます。

ただし、年金分割が成立しても、分割された年金を受けとるためには、老齢基礎年金を受け取る資格が必要です。老齢基礎年金は加入期間が10年以上ないと受けとれません。自分の年金を増やすためにも、国民年金の種別変更手続きを行って、離婚後も保険料をおさめていきましょう。

手続きは、第3号被保険者から、第1号被保険者(自営業やフリーランスなどで働いたり、無職になる場合)は、市区町村役場で。厚生年金に加入して働く場合は、会社が手続きしてくれるので届け出は不要です。

分割された年金は、生涯受給できる

年金分割をしたあとは、離婚した夫が亡くなっても、年金は支給されます。また、再婚した場合でも、分割された年金は予定通り出ます。

また、分割した年金は、自分の年金として、60歳前半に繰り上げて受給したり、65歳以降に繰り下げて受給することも可能です。

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、離婚による年金分割で、合意分割によって増えた年金額は月平均で3万1112円。一方、3号分割によって増加した年金額は月平均6000円です。意外に少ないと感じるのではないでしょうか。

離婚後、実際にどれくらい年金が分割されるか知りたい場合は、年金事務所に相談しましょう。相手に知られずに、金額を調べられます。

夫婦ふたりなら年金額は一般に10数万円~20数万円ありますが、離婚後は一人10万円前後に減るのが一般的。離婚を考えているなら、離婚後に備えて貯蓄したり、仕事を探すなど、綿密な準備が必要といえるでしょう。


プロフィール
井戸美枝

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、国民年金基金連合会理事。生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、雑誌や新聞に連載を持つ。『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)など著書多数。
ホームページ:http://mie-ido.com
Twitter:@mieido

※この記事は2024年9月3日に文章構成を変更しました。

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