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【ブギウギ】主人公を悩ませる「ダメ父」が、近年の朝ドラで幅を利かせる。梅吉(柳葉敏郎)はテルヲ(トータス松本)ほどではない

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田幸和歌子

【ブギウギ】主人公を悩ませる「ダメ父」が、近年の朝ドラで幅を利かせる。梅吉(柳葉敏郎)はテルヲ(トータス松本)ほどではない

「ブギウギ」第41回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。毎朝元気をもらえる作品になりそうな「ブギウギ」で、より深く、朝ドラの世界へ!

★前回はこちら★

【ブギウギ】危篤の母の前でスズ子が歌ったのは『恋は優し野辺の花よ』だった。このセレクトは実に良い

趣里主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『ブギウギ』の第9週「カカシみたいなワテ」が放送された。

脚本担当が『拾われた男 Lost Man found』(NHK BSプレミアム)などを手掛けたメインライターの足立紳から、NHK夜ドラ『あなたのブツが、ここに』の櫻井剛にバトンタッチした今週。

その繋ぎは比較的スムーズで、SNSや各種記事の文字情報で追っていない層には、バトンタッチしたことに気づいていない人も多いことだろう。

東京に戻ったスズ子(趣里)が梅吉(柳葉敏郎)と一緒に暮らし始めて1年。ツヤ(水川あさみ)を失った悲しみから立ち直れない梅吉は、何もせず飲んだくれてばかり。

その頃、日中戦争の影響から贅沢が禁じられ、梅丸楽劇団は派手な演目や演奏を取りやめるよう警察に言われ、スズ子は三尺四方の枠から動かず歌うよう指示される。

カカシ状態で歌わされるというナンセンスな戦時下の状況を見ても、全然笑えない、むしろ今でもあり得る恐ろしさに感じられるのが、令和のエンタテインメントが置かれた状況かもしれない。

そんな中、小林小夜(富田望生)が突然弟子入り志願で来る。下宿先が見つかるまで面倒を見ることにするスズ子だが、小夜はスズ子から渡された食事代で酒を買い、昼から梅吉と大騒ぎ。そんな小夜をスズ子が追い出すと、梅吉は血縁関係のないスズ子に対し、禁断の言葉「小夜ちゃんの方がよっぽど娘みたいやったわ」と呟く。

さらに梅吉は、おでん屋で客とケンカし、警察の厄介に。しかし、ケンカの理由は、スズ子をけなされたからというお約束の展開に、「やっぱり」と落胆の声がある一方、感動したという声も多数あった。

一方、楽団員は出征などでどんどん減り、枠の中でおとなしくカカシ状態で歌うスズ子に失望する客が増える中、とうとう楽団は解散に。スズ子には大阪に戻ってこないかという誘いもあったが、自身の信念を貫く茨田りつ子(菊地凛子)の存在が刺激を与え、りつ子の喝がスズ子の背中を押した形で、スズ子もりつ子に倣って自身の楽団を立ち上げることを決意する。

スズ子のことを下品だと評したりつ子だが、スズ子が歌を大好きであること、スズ子の歌が面白いことを誰よりも理解していた1人が、おそらくりつ子だったのだろう。

今回、時代性と梅吉の精神状態に絡めて脚本家がバトンタッチされたこともあり、梅吉がステレオタイプなダメ父になり、小夜という、わかりやすい強烈キャラが登場した。

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