「僕にも娘がいるから、この役はしんどかった」大泉洋さん、自身の家族と重ね合わせた大役
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ゆうゆう編集部
50代になって不安や焦りも感じています
50歳を迎えた昨年は、俳優業に加えて音楽活動にも精力的に挑戦。50歳を記念したリサイタルツアーの開催、初のベストアルバムのリリース、そして年末には「NHK紅白歌合戦」に歌手として出場を果たした。
「バカバカしい歌も含めて、ずっと歌を作ってきまして。せっかく作ったんだから、ファン以外の皆さんにも聴いてもらいたいなと思うようになったんです。何か新しいことをやってみようかという気持ちもあったので、『50歳になった』を言い訳に、今まで恥ずかしくてできなかった音楽活動をやってみました」
歌手として立ったステージには、芝居とはまた違う楽しさがあった。
「最初は『1回限りでいいや』と思っていたんだけど、すごく上手なバンドメンバーと私の子猫ちゃん(大泉さんのファンネーム)たちと一緒につくり上げる空間、時間、エンターテインメントがすごく楽しかったんです。音楽って、そういう幸せな関係にあふれているんだなと思うと同時に、『また面白い扉を開けちゃったな』という気がしています」
人気は高まる一方で、さまざまな作品のオファーが引きも切らない。順風満帆な50代のスタート!かと思いきや……。
「50代になった途端に体にいろいろな不調が出てきて、神様から『このままだと、今までどおりには仕事ができなくなるよ』と言われている感じです。現にケガしたりして。今、ようやく少しよくなってきたところです。40代まではそんなに体をいたわらなくても仕事ができていたんだけど、50代からはそれではやっていけないような気がします」
体だけでなく心境にも変化が。
「50歳まではいただいた仕事をどんどんこなしていけた。けれど、ケガのこともあって、『このペースではきつい、もう少しゆっくりにしましょう』ということにしたんです。でも、ペースをゆっくりにするということは、自分ができる仕事量が減るわけですよ。60歳という大台まで10年を切ったなかで、『自分はあとどれだけ仕事ができるだろう』と考えると、少し不安になります。それに、50歳なら40代の役もできるけれど、さすがに60歳になったらもう40代の役はできないでしょう。そうなると、今できているお父さん役もタイムリミットが近づいてきているのかなって。今はそんな焦りのようなものを感じています」
素顔の大泉さんが垣間見られた瞬間。しかし、すぐに表情を緩めて「こういうの、あんまり雑誌で話すことじゃないよね。これじゃあ読者の皆さんも希望がもてないもん(笑)」。このやさしさとサービス精神が多くの人に愛される理由なのだろう。
さて、50代からの人生をどのように自分らしく過ごすかは、私たちにとっても大きな課題。不安や焦りを抱えながら、大泉さんはこれからの人生をどう思い描くのか。
「僕はワーカホリックというわけじゃない。仕事してなきゃ落ち着かないなんてことはないし、しっかり休みは欲しいんだけど……ただ、一番の趣味もやっぱり仕事なんですよね。人間は誰しも自分の存在意義みたいなものを求めて生きていると思うけれど、自分のやりがいという意味では、僕には『人を楽しませたい』ということ以外にやりたいことがない。バラエティ番組で人を笑わせたいとか、映画で人を感動させたいとか、それしか興味がないんです。だから自分がやりたいことに正直に生きる、たぶんこれからもね」
INFORMATION
映画『ディア・ファミリー』
世界で17万人の命を救ってきたバルーンカテーテル誕生に隠された、家族の愛の実話。心臓に先天的な疾患を抱え、「余命10年」を宣告された娘・佳美(福本莉子)のために、自分が人工心臓を作ると立ち上がった父・宣政(大泉洋)。限りなく不可能に近い挑戦だったが、後に大きな奇跡を生むーーー。
原作:清武英利『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録』(文春文庫)
監督:月川 翔
脚本:林 民夫
出演:大泉 洋、菅野美穂、福本莉子、川栄李奈、有村架純、松村北斗、光石 研 他
●6月14日(金)より東宝系にて全国公開
©2024「ディア・ファミリー」製作委員会
映画『ディア・ファミリー』公式サイト
※この記事は「ゆうゆう」2024年7月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/中村彰男 ヘア&メイク/白石義人(ima.) スタイリング/勝見宜人(Koa Hole inc.) 取材・文/本木頼子
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