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48年ぶりのひとり暮らし…「介護、看取り、いろいろあるけど、なるようになる!」イラストレーター 本田葉子さん

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植田晴美

住まいを変えてコストダウン。家賃は昔の4分の1に。必要に迫られて断捨離も!

年を重ねれば重ねるほど、家族や親しい人を見送る回数も増えてくる。それは当然のことだとわかってはいるものの、ひとりになること、ひとりで暮らすことにも全く不安はなかったのでしょうか?

「ない。そう思っていたんですけど、愛犬を亡くした後ぐらいのころだったかしら、本格的なひとり暮らしになったときに、何だかグロテスクな悪夢ばかり見ていた時期がありましたね。自分では意識していなかったけれど、心の奥底には漠然とした不安があったのかもしれません」
と話しながらも、その表情や声はずっと穏やかでやわらか。

“人生の転機をどう乗り越えてきた?”“不安はありませんでしたか?”“看病や介護は大変でしたよね”など、眉間にシワを寄せているのは、質問するこちらだけ。どんな問いに答えるときも、本田さんは常に笑顔で、その口調はあくまでも軽やか。

その時々の出来事に真っ向から立ち向かうのではなく、ふわりふわりとまるで波乗りを楽しむように、人生の荒波も乗りこなしている。そんな印象を受けました。

ベランダに目をやるとやすらぎのスペースが。

でも本田さんは決して呑気な方というワケではありません。大切なことはきちんと考え、実践しています。たとえば老後の気がかり、と言ったときに、真っ先に浮かんでくるのがお金の問題でしょう。

「夫を亡くした後、神奈川県小田原市に移住した大きな理由は、経済的な問題。夫という働き手が一人減ったのでサイズダウンが必要で、都内から小田原の古民家に移ることで、家賃を半分にすることができました」

なるほど、なるほど。

「その古民家はとても気に入っていましたけど、私がひとりで暮らすには部屋数が多すぎるし、経済的な負担も大きすぎます。とはいえ、真剣に探すのも面倒くさいなあなんて思っていたときに、運よく出合ったのが現在の住まい。公営の集合住宅です。またもや家賃が約半分になったんですよ」

住まいにかかるお金は家計の中で、大きなウエイトを占めます。住まいそのものを変えて、住居費そのものを削るのはとても合理的。年を取ると、長年住んでいた場所を離れるのは……と引っ越しをためらう人も少なくありません。でも環境をガラリと変える引っ越しには、気分を変えるという大きなメリットもあります。

「新しい土地に住む、新しい生活が始まるっていうのはワクワクすることじゃないですか。それに住まいをサイズダウンするために、必然的にモノを減らさなくちゃいけない。このスペースに入る分しか持ってこられないので、家具や家電、食器、洋服などの処分も思い切ってできました」

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