私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

【光る君へ】新婚生活がスタートするも藤原宣孝(佐々木蔵之介)の足は紫式部(吉高由里子)から遠のき…。思わぬ場所で藤原信長(柄本佑)との再会も

公開日

更新日

志賀佳織

第26回のタイトルは「いけにえの姫」。先の安倍晴明の予言通り、いよいよ都は次々と凶事に襲われていく。長徳4(998)年10月1日には、日食と地震が同日に都を襲った。大水と地震の被害で都の死者は100人を超えた。

道長は再び安倍晴明を訪ね、この天変地異がいつまで続くのかを問うと、晴明はこう答える。「天地(あめつち)の気の流れを変え、帝の御心を正しきところにお戻しするしかない。左大臣様はよきものをお持ちと申しました。よきものとは、左大臣様の一の姫・彰子(あきこ)様にございます」

すなわち、道長の娘・彰子(見上愛)を一条天皇に入内させれば事態は収まるというのだ。「私には見えます。彰子様は朝廷のこの先を背負って立つお方」

思いがけぬことに驚き戸惑う道長は、姉の藤原詮子(あきこ/吉田羊)に相談する。すると詮子はこう言うのだった。「娘をかばうよき父親の顔をして、お前は宮中の力争いから逃げているの。道長もついに血を流すときが来たということよ」

帰宅後、道長は妻の源倫子(ともこ/黒木華)に、彰子を入内させるつもりだと告げると、猛烈な反発に遇う。道長は言う。「これはいけにえだ。天塩にかけた尊い娘ならばこそ、値打ちがある」。しかし倫子も黙っていない。「どうしても彰子をいけにえになさるなら、私を殺してからにしてくださいませ」

倫子は、母・藤原穆子(むつこ/石野真子)のもとを訪れ相談すると、意外にも穆子はこう助言する。「ひょっこり中宮様が亡くなったりしたら? 何がどうなるかは、やってみなければわからないわよ。それに中宮様は帝よりも4つもお年が上でしょう? 今は首ったけでも、そのうちお飽きになるんじゃない?」

この穆子は娘・倫子の結婚のときも、飄々としながら非常に現実的な損得判断をして進めていくのが得意な「ゴッドマザー」であった。今回もこの母の一言で、あれほど反発していた倫子の気持ちもあっという間に変わってしまった。

年が明けて元号が「長保」に改まった。晴明から「定子が懐妊したようだ、11月に皇子が生まれるだろう」と告げられた道長は、あえてその月に彰子の入内をぶつけようと決める。定子の体調が悪いと聞いているが「ご懐妊ではありませんわよね?」といぶかしむ倫子にも「ご懐妊であろうとも、入内は決行する」と言い放つが、倫子も負けてはいない。というか、ここからこの倫子の本領発揮なのだが、今回も「らしい」一言を放ってくれたのである。「ご懐妊ならば、そのお子を呪詛したてまつってくださいませ。呪詛は、殿のご一家の得手でございましょう?」

こ、怖い、怖いです、倫子様。何なら穆子からの流れで筋金入りの怖さ。しかし、ただ怖いだけではないのが倫子様。いや、芯から怖いというべきか。なんたって「賢夫人」、最後はこう言って締める。「殿の栄華のためではなく、帝と内裏を清めるためなのでございますね? わかりました。私も肝を据えます。中宮様の邪気を払い除け、内裏に彰子のあでやかな後宮(こうきゅう)を作りましょう。気弱なあの子が力強き后となれるよう、私も命を賭けまする」

もうね、後光がさして見えるでしょう? ネットで「まひろには悪いが、やはり妻としては倫子様のほうが上」みたいな、倫子を支持する意見が多いのもうべなるかな。結局、彰子は「仰せのままに」とおとなしく両親に従い、裳着(もぎ)の儀を終え、一条天皇も入内を認める。

一方、新婚のまひろはどうなったか。新妻を慈しむ宣孝であったが、二人の間の文を他の女に見せたと漏らしたり、若い女にも反物を買って与えたりと、まひろの心を波立たせる。ついに「お前のそういう可愛げのないところに、左大臣様も嫌気がさしたのではないか。わかるなぁ」と言われたことで、まひろはカッとなり、火取りの灰を宣孝の顔に投げつける。

大河ドラマ「光る君へ」第26回より ©️NHK

以降、宣孝の足は遠のいた。そんなまひろに、いと(信川清順)は「宣孝様に文を出してはどうか」とすすめる。「想いをいただくばかり、己を貫くばかりでは、誰とも寄り添えませぬ」

まひろは思い立って屋敷の一同を誘って、皆で石山寺詣をすることに。そして夜、一人でお経を唱えていると、誰かが入ってくる気配がする。振り返ると、なんとそれは道長だった──。

7月7日(日)は都知事選開票速報のため、「光る君へ」の放送がない。え、ここでサスペンデッド? そんな殺生な。

その潔癖さゆえに、宣孝との関係にもつまずいてしまうまひろが愛おしい。ひたむきなのに不器用で、でも失敗に落ち込みながらも前に進もうとする。きっとこの宣孝との暮らしが『源氏物語』への大きな一歩になるのだろう。加えて、彰子の入内もまひろの人生を大きく変えていく。ドラマもいよいよ折り返し地点を過ぎたらしい。今後の人間関係にもますます注目だ。


★あわせて読みたい★

【光る君へ】藤原道長(柄本佑)への変わらぬ想いを伝える紫式部(吉高由里子)。二人は唇を重ね… 【光る君へ】紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の過去の恋愛模様を、紫式部の父についに告白 【光る君へ】右大臣となった藤原道長(柄本佑)。紫式部(吉高由里子)とかつて逢瀬を重ねた廃屋で再会を果たす二人

PICK UP 編集部ピックアップ