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【光る君へ】新婚生活がスタートするも藤原宣孝(佐々木蔵之介)の足は紫式部(吉高由里子)から遠のき…。思わぬ場所で藤原信長(柄本佑)との再会も

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志賀佳織

【光る君へ】新婚生活がスタートするも藤原宣孝(佐々木蔵之介)の足は紫式部(吉高由里子)から遠のき…。思わぬ場所で藤原信長(柄本佑)との再会も

大河ドラマ「光る君へ」第26回より ©️NHK

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2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」。『源氏物語』の作者・紫式部のベールに包まれた生涯を、人気脚本家・大石静がどう描くのか? ここでは、ストーリー展開が楽しみな本ドラマのレビューを隔週でお届けします。今回は、第25回「決意」と第26回「いけにえの姫」です。

前回はこちら↓↓ 
【光る君へ】周明(松下洸平)、藤原宣孝(佐々木蔵之介)の2人に言い寄られる紫式部(吉高由里子)。果たしてどちらを選ぶ?

父の友人・藤原宣孝(のぶたか/佐々木蔵之介)からの求婚を受け、驚いたまひろ(後の紫式部/吉高由里子)だったが、その熱意にしだいに心を動かされていった前回。「早く都に戻ってこい」という宣孝からのたびたびの文に、自身のこれからの生き方も考えるようになっていく。そして、都に戻って自分の気持ちを確かめようと決心する。第25回のタイトルは「決意」。まひろはいよいよ新たな人生の扉を開いていくことになる。

『NHK大河ドラマ歴史ハンドブック 光る君へ 紫式部とその時代』(NHK出版)によると、『紫式部集』には「宣孝の求婚に対する返歌はいくつか収められており、どれも色よい返事には見えないが仲は深まっていったのだろう」とある。ドラマで描かれているように、その思いは、藤原道長(柄本佑)に対する燃え上がるような恋とは違って、ある年齢に達した紫式部が今後の人生を考えたときの、現実的な相性や打算もあってのものだったのかもしれない。いずれにしても、長徳4(998)年、まひろは単身、越前から京の都に戻った。

一方、内裏でも大きな変化が訪れようとしていた。安倍晴明(はるあきら/ユースケ・サンタマリア)が今後、都は凶事が続くと道長に告げたのだ。「凶事とは何だ? 地震か、疫病か、火事か、日食か、嵐か、はたまた大水か」と尋ねる道長。すると晴明はこう答えた。「さすが左大臣様、それらすべてにございます」

「帝をいさめたてまつり、国が傾くことを妨げるお方は、左大臣様しかおられませぬ」と告げる晴明。「よいものをお持ちではございませぬか。お宝をお使いなされませ」。意味ありげな笑いを口の端に浮かべて立ち去る晴明に、道長の迷いは深くなる。 

道長をはじめ内裏の公卿(くぎょう)たちがとにかく気に病むのは、一条天皇(塩野瑛久)の中宮・定子(さだこ/高畑充希)への執心、執着である。政務をそっちのけで職御曹司(しきのみぞうし)に入り浸り、その間に民の暮らしは乱れていく。道長は鴨川の堤の修繕許可を一条天皇に申請しているも、その返答も来ない。

大河ドラマ「光る君へ」第25回より ©️NHK

そうこうしているうちに、ついに晴明の予言通りの凶事が起こってしまう。まずは大雨が降り、鴨川の堤が崩れてしまったのだ。歴史上にはいわゆる「傾国の美女」というものが時折現れては、世の中を台無しにしていくが、この中宮・定子もその一人なのか。問題は彼女が一旦「出家」してしまっているということだ。

一条天皇の振る舞いに厳しい藤原実資(さねすけ/秋山竜次)は、その日記『小右記(しょうゆうき)』に、「天下は感心しなかった。『あの宮の人々は、中宮は出家されていないと称している』ということだ。甚だ稀有の事である」と記していたとある。(『紫式部と藤原道長』倉本一宏著・講談社現代新書)。あったことを「なかったこと」にする一条天皇周辺に対して、公卿たちの中にふんまんやるかたない空気が流れていた様子が伝わってくる。

ついに道長は職御曹司に出向き、一条天皇に訴える。堤の修繕の許しをかねてから奏上していたが、一条天皇からは返答なく、自らの判断で修繕に進んだが時すでに遅し、大事に至った。「早く修繕を始めなかった私の煮えきらなさゆえ、民の命が失われました。その罪は極めて重く、このまま左大臣の職を続けてゆくことはできぬと存じます」

ことここに至って一条天皇は初めて事態の深刻さに気づく。慌てて慰留するが、この日から3度にわたって道長は辞表を提出した。だが、一条天皇はそれを受理しなかった。

そんな折、除目で山城守(やましろのかみ)に任じられた礼を言いに(という名目で?)道長のもとを宣孝が訪れ、まひろとの結婚が決まったことを報告する。道長の動揺は隠しきれない。その報告を受けたまひろも、怒りのあまり宣孝を追い返す。

後日まひろのもとには道長からの大量の婚礼祝いが届いたが、添えられた文の文字は道長の文字ではなかった。その夜、まひろのもとを訪れたのは宣孝だった。「私は不実な女でございますが、それでもよろしゅうございますか」「わしも不実だ。あいこである」。まひろはついに宣孝の妻になることを選んだのだった。

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