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「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」ソン・ヘギョの復讐を最後まで見届けたくなるのはなぜ?【韓国ドラマ】

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上村由紀子

ソン・ヘギョが主演の韓国ドラマ『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』は、第1話〜8話がパート1として2022年12月にNetflixで配信されて大ヒット。続いて第9話〜16話がパート2として2023年3月に配信されました。ドラマや演劇に強いライター、上村由紀子さんに、パート1のヒットについて語っていただきます。
(※パート1のネタバレを含みます)

パート2の配信が開始されると同時にテレビ(非英語)部門で視聴者数第1位を獲得した『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』(Netflix)。イジメ、とは簡単には片づけられない暴力行為や精神的虐待で人生を破壊された主人公、ムン・ドンウン(ソン・ヘギョ)が、加害者たちに復讐するリベンジストーリーだ。ここではパート1(第8話まで)を振り返り、なぜこのドラマが日本を含む世界62か国で大ヒットしているのか考えていきたい。

ことの始まりは高校時代。リッチな家庭で育ったパク・ヨンジン(シン・イェウン)がリーダーの5人組に目を付けられたドンウン(チョン・ジソ)は、彼らから熱したヘアアイロンを身体中に押し付けられたり、自宅を荒らされ下着姿で踊らされるといった暴力行為を日常的に受けて退学届を提出する。が、担任教師は彼女を守るどころか「お前が悪い」と殴りつけ、実の母親も加害者側から金銭を受け取って家出。ドンウンはキンパ店や染色工場で働きながら高卒認定試験を受け、教育大学へと進む。

大学卒業後、教職免許を取ったドンウンは、ヨンジン(イム・ジヨン)の娘・イェソルが通う私立小学校に転任し、担任となることに成功。小学校理事長の弱みを掴むためゴミを盗む中で知り合った中年女性、カン・ヒョンナム(ヨム・ヘラン)の協力を得て、自らの人生を破壊した加害者たちに復讐していく。

本作『ザ・グローリー』には明るく正しい人間が1人も出てこない。加害者たちに復讐することだけを目的に18歳から36歳まで生きてきた主人公のドンウンも当然手を汚すし、加害者側の5人はそもそも人間のクズだ。また、ドンウンに手を貸すヒョンナムも自分と娘に暴力をふるう夫を殺したいと思っており、ドンウンと囲碁を通じて知り合い、彼女に恋心を抱く医師、チュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)も心に暗い闇を抱えている。

日本のドラマであれば主人公が復讐の道を進む途中で「復讐なんて意味がない」「復讐することであなたは救われるのか」と問題提起をする人物が現れ、主人公も考え直して軌道修正するところだが、このドラマでそんなヤワな展開は一切起きない。せいぜい、ドンウンの工場時代の後輩が「先輩、そんな遠回しな復讐なんてやめて、いっそ殺っちゃった方が早くないですか?私、怖いお兄さんに知り合いいますよ」と笑顔で語るくらいである。

パート1は緻密に計算された暗いミッションをドンウンが立ち上げていくモードで、痛快とか良くやった!という方向とも少々違うのだが、不思議と嫌な気持ちにはならず、中毒のようにストーリーを追い続けてしまう。それはなぜか。

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