【美しき日々】ミンチョルを選ぶか、それともソンジェか、チェ・ジウになりきって妄想を膨らませる9〜16話【韓国ドラマ】
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藤岡眞澄
ソロアルバム「約束」は日本で大ヒット
実は恋愛だけでなく、ミンチョルとソンジェはビジネスでもライバル関係になる。ミンチョルの父ソンチュン(イ・ジョンギル)が社長を務めるビクトリー・レコードを脅かすミューズの存在。社長のギョンヒ(イ・フィヒャン)は25年前、ソンジェの実父ヨンジュン(ハ・ジョエン)が社長を務めたレコード会社の看板歌手だった。
敬愛するヨンジュンの突然の死に、ソンチュンが関わっていると確信したギョンヒはソンジェに近づき、ミューズにスカウト。歌手デビューが叶ったヨンスの妹分セナ(イ・ジョンヒョン)のプロデューサー、そしてネットアーティストのZEROだとマスコミに公表する。
そして、ミンチョルは父がソンジェの父を殺害した事実を知って自暴自棄になり、ヨンスの愛の力で開きかけた心の扉を再び閉ざしてしまう。婚約式をするはずだったヨンスさえ遠ざけて……。
『美しき日々』が視聴者を引き付けた最大の理由は、推しがイ・ビョンホン派とリュ・シウォン派にくっきり分かれたところだろう。
まず、イ・ビョンホン。サラサラな前髪を下ろし、そこからのぞく鋭い瞳は寂しさを湛えている。そして、キリリとシャープな佇まいは、そこにいるだけで孤独と緊張感を醸し出す。だが、その口からは思わせぶりでキザなセリフが飛び出し、ふとした瞬間に見せる笑顔はいたずらっ子のようで愛おしい。
幼い頃に母を亡くし、その母を裏切った父と義母、弟を憎んで育つ、という複雑で屈折した人となりを、その時々の心情に応じて見事に演じてみせるイ・ビョンホンに胸キュンだった人は多いはず。
一方のリュ・シウォン。垂れ目の笑顔が心を無防備にさせる。ヨンスへの一途な愛ばかりか、気苦労が絶えない母を労わり、難病の少女にもやさしく寄り添う献身的な姿に心癒される。加えて、そっと包み込んでくれそうなテディベア体型と甘い低音ヴォイスは母性本能をくすぐらずにはいられない。
リュ・シュオンがドラマの中でZEROとしてネットにアップした人気曲「約束」を収録したソロアルバム『約束』は日本で大ヒット。コンサートも開かれ、第47回日本レコード大賞大衆賞(2005年)を受賞している。
初見当時は、クールなイ・ビョンホンに優しくされたり、別れると言われたり、どんなに振り回されも、あんな恋がしてみたい、と思った。が、23年たった今は、ソフトなリュ・シウォンに一途に愛され、あたたかく包み込んでほしい、と願う。推しも経年変化する。
終盤はミンチョルのビジネスが破綻したり、ヨンスが重い病に冒されたり……。驚くような出来事が次々起こる怒涛の展開が待っている。
撮影しながらストーリーを書き進めていくのが韓国ドラマの特徴。「ラストシーンはかなり悩んだ」(※)という脚本家ユン・ソンヒの言葉どおり、ハッピーエンドかどうかは、最後の最後までわからない。
※『韓国ドラマ・ガイド 美しき日々』(日本放送協会/2005年)
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