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博多の街を闊歩する 仲里依紗版の歩が貫禄ありすぎる 第6週【おむすび】

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田幸和歌子

博多の街を闊歩する 仲里依紗版の歩が貫禄ありすぎる 第6週【おむすび】

「おむすび」第27回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。平成青春グラフィティ「おむすび」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

▼前回はこちら▼
【おむすび】「チンして」と言う天真爛漫さが、今の結(橋本環奈)と違う。どれだけ大きな影を落としたか!

そんな妹の姿を見て、姉・歩が動く

「おむすび」第28回より(C)NHK

橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『おむすび』の第6週「うち、ギャル、やめるけん」が放送された。

糸島のギャルサー「博多ギャル連合(ハギャレン)」がずっと目標としてきた「糸島フェスティバル」でのパラパラパフォーマンスも無事終了、結もハギャレンたちとの友情のようなものを感じながら楽しんでいる様子が描かれていた。だけど唐突に「やめるけん」。その思いに至った理由には、姉・歩(仲里依紗)と父・聖人(北村有起哉)の存在だ。

糸島フェスティバルの打ち上げの場で、泥酔した聖人は歩のギャル化をとめられなかったことをずっと悔いていることを涙ながらに告白する。それを聞いた結はギャルをやめると宣言、そしてなぜか「書道もやめる」宣言までしてしまう。

その後、学校から帰ると家の農作物の収穫や出荷などの手伝いをする日々が描かれるが、結は終始ムスッとした表情で作業しており、「ギャルやめた」「(ついでに)書道もやめた」は、明らかに当て付けのような意地の張り方だ。

タンスにしまった糸島フェスの衣装を取り出してしみじみ眺めたり、書道コンクールでの風見(松本怜生)と恵美(中村守里)の受賞を見る様子は、わかりやすく「未練」が表現されているわけだが、そんな風見にまた書道をやろうと声をかけられてもはねつける様子など、思春期らしいのかもしれないが、そのモヤモヤ感に苛立ちを感じた視聴者も少なくないかもしれない。

あげくの果てに、学校と手伝いを兼ねる生活がハードだったのか、結はまさかの「過労」で倒れてしまう。

そんな妹の姿を見て、姉・歩が動く。歩はハギャレンたちに会いに行き結の様子を聞く。そして、祖母・佳代子(宮崎美子)特製スープでようやく元気を取り戻した結に、なぜ自分がギャルになったか、家を出たあとどうしていたか、告白タイムに突入する。

仲里依紗版の歩が貫禄ありすぎて

震災によって倒れた家具の下敷きとなり命を落とした歩の親友、真紀(大島美優)。ずっとギャルへの憧れが強く、高校を卒業したら上京してギャル雑誌に載って……歩はある意味思い半ばで夢を叶えられなかった親友の遺志を受け継ぐようなかたちでギャルになった、歩は真紀のやりたかったことをやってきただけだという。

前週描かれたように、震災のショックを引きずってはいたものの、真紀のために「高校デビュー」のように福岡で金髪ルーズのギャルJK化した歩。ゲーセンでカツアゲされそうになっている子を助けようとして、結果的にカツアゲする不良ギャルに怪我をさせてしまったことで警察沙汰となってしまう。

詳細を聖人に伝えなかったことで二人の溝がさらに深まってしまうことになるのだが、この騒動がきっかけとなり、歩に憧れ真似をする女の子たちを引き寄せていくこととなり、やがて初代「ハギャレン」として形づくられていく。歩自身ものちに真紀の夢だったギャル雑誌に「あゆクン」として掲載されるなど、夢を実現させていく。

余談ではあるが、ハギャレンメンバーを引き連れて博多の街を闊歩する歩の姿が、同じシーンの中で高松咲希から仲里依紗にバトンタッチされていくのだが、仲里依紗版の歩が貫禄ありすぎて、「このわずかな期間になにがあったのか?」と感じてしまうほどではあるが、そのぐらいの苦悩を抱えてきたのかと補完するのなら、それはアリなのかもしれない。

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