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朝ドラ【おむすび】を振り返る。「本当は物語を純粋に楽しみたい。それだけなのである」

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田幸和歌子

朝ドラ【おむすび】を振り返る。「本当は物語を純粋に楽しみたい。それだけなのである」

「おむすび」第125回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。最終回を迎えた「おむすび」のレビューをお届けします。
※ネタバレにご注意ください

▼前回はこちら▼

【おむすび】翔也(佐野勇斗)に聞いてみたい。「米田家って何なん?」と思ったこと、なかっただろうか

放送終了したいま、少し振り返ってみる

橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説『おむすび』が、最終週「おむすび、みんなを結ぶ」の放送をもって、半年間の物語に幕をおろした。

『おむすび』というドラマとは何をわれわれ視聴者に「結んで」くれたのか。放送終了したいま、少し振り返ってみる。

このドラマのキャッチフレーズは、〝平成青春グラフィティ〟というものだった。平成から令和という時代を描くにあたり、どんな話題や出来事があったのか。それを考えると、やはり1995(平成7)年の「阪神淡路大震災」、2011(平成23)年の「東日本大震災」があまりにも大きな災害だ。震災については→主人公一家が被災し、それぞれの心に大きな影響を与えるようにしよう。しかし、原発事故まで盛り込むと収まりきらなくなりそうだから(?)省略。

平成期のカルチャーに大きな影響を与えたギャル文化、これもまぁ重要な要素だろう→ヒロインがそれに出会い、影響を受けていく。〝失われた30年〟とも言われた時代も、ギャル特有の明るさで乗り切ろう、アゲ! SNSなどの発展や「映え」カルチャーもここに取り込めそうだ、アゲ!

「おむすび」第125回より(C)NHK

「冬のソナタ」に代表される韓流ブームも入れておきたい→おもな登場人物の誰かがブームにハマる描写などもいいけれど、ヒロインの相手役のあだ名を「ヨン様」にしておけば、当時の人気ぶりは伝わるだろうか。

オウム真理教事件→さすがに青春グラフィティでは取扱いにくいだろう。

野茂、イチロー、松井、大谷……メジャーリーグでの日本人の活躍も強い記憶を刻む→ヒロインの相手役(ヨン様)に野球をやらせ、将来の夢をメジャーリーガーということにさせよう。

なでしこジャパンも少しからめたい→ヒロインの娘にサッカーをやらせ活躍させよう。

震災とともに、コロナ禍もしっかりと描いておきたい→ヒロインを病院勤務にすることで、その最前線に直面させるのはどうか。

放送終了後の4月から開催される、大阪・関西万博もぜひ盛り込みたい→1970(昭和45)年の万国博覧会を、ヒロインの親や祖父母の関係性にとって重要な出来事にしよう。

ほかにも、結婚による改姓や、未成年後見人制度なども盛り込めるだろうか。

……と、平成から令和に至るまでの出来事、時事ネタをさまざまに、ある意味「欲張り」に盛り込み、平成という時代をストーリーを通じて振り返っていき、フィクションでありながらひとつの歴史アーカイブのような作品に仕上げていくということはとても意義のありそうなことだ。

「おむすび」第124回より(C)NHK

それらをひとつの軸としてまとめていく手段として描き出されたのが「栄養士」そして「食」という要素だ。はたしてドラマのタイトル『おむすび』が先にありきだったのかどうかわからないが、このドラマのコンセプトは「平成元年生まれのヒロインが、栄養士として、人の心と未来を結んでいく」というもの。これらの出来事も含め、「食べること」を通じてひとつに「結んで」いくドラマだった。

しかし、これらのさまざまな出来事をひとつのストーリーで結んでいくには、半年間、全125話あるといえど、相当な力技で「結ぶ」ことも必要だっただろうし、どうしても駆け足とならざるを得なかっただろう描写も多かった。

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