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博多の街を闊歩する 仲里依紗版の歩が貫禄ありすぎる 第6週【おむすび】

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田幸和歌子

そして、現在の黒髪ロングヘアで突然帰ってきた歩。現在の歩の付き人・佐々木(一ノ瀬ワタル)は歩を「大女優」と呼ぶ。この「大女優」に、「糸島はテレビもネットも存在しないのか!?」とSNSなどで盛り上がってはいたが、これは佐々木がそう呼ぶだけで、それを祖父の永吉(松平健)が周囲に触れ回っただけのこと。

歩は家族の前で、カラオケビデオを流し、ここに出ているのが自分だと、再び告白タイムに突入する。女優仕事はおもにカラオケビデオなどに出演するようなもので、今の黒髪も新たに撮影している作品のためのものであり、現場からそのまま逃亡してきたという理由だった。決して「大女優」というわけではなく、それは「女優・米田歩」を誰も知らないのも理解できるズッコケ演出であることがわかり少しホッとした。

東京でささやかながらも女優としての活動して独り立ちしていそうではあるものの、真紀の夢・憧れという呪縛は完全に解けておらず、墓参りのために神戸に行きたいと告げる。それで完全に歩の気持ちが浄化されるのかどうかはわからないが、それが歩なりの震災、そして親友に抱える思いへのけじめなのだろう。

「おむすび」第30回より(C)NHK

序盤の問題がいろいろ解決されて

あの日の震災、約10年間、家族それぞれに生じてしまったままのわだかまり、歩の告白、泥酔した聖人の後悔の念、皆があらためてそれらに向き合ったことで、抱えてきたものがいろいろとクリアになった。

「お姉ちゃん、髪やって」
結は歩にお願いする。

言葉はそれだけだが、そこは姉妹、妹の思いを汲み取り、少し優しげな柔らかな表情で歩は結を黒ギャル風にヘアメイクとコーディネートを仕立て、家族の前に披露する。そして、
「うち、ギャルやりたい!」
ギャルやめるけんをやめるけん宣言をした。書道も復帰するという(つねに書道がサブ扱いなのが少し気になるが)。

わだかまりも解消された聖人も、人に迷惑をかけないのならと、理解をみせる。序盤の問題がいろいろ解消、めでたしめでたしといったところだが、次週以降は何が描かれていくのだろうか。次週予告で結は「栄養士になりたい!」と宣言する場面が紹介されていた。

「やりたい」「やめる」「なりたい」の宣言が多いドラマだが、この宣言にどう至るかというところが第7週の注目ポイントといったところであろうか。

「おむすび」第27回より(C)NHK

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