【おむすび】は一大SF作品に展開か!?地球人総ギャル化をもくろむのか
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田幸和歌子
1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。平成青春グラフィティ「おむすび」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください
おむすび第12週
なぜキャッチボールしながら肩の故障の告白を?ツッコミたいわけではないが、いろいろ気になってしまう【おむすび】
翔也のギャル魂、インストール完了!
「ギャルなめんな!」
姉・歩(仲里依紗)のギャル仲間であるチャンミカ(松井玲奈)のお店で、一時消息不明状態だった翔也(佐野勇斗)と偶然会えたものの、ヒロイン結(橋本環奈)はこう啖呵を切り、「大っ嫌い!」と別れることを翔也に宣言した。
肩を壊し、プロ野球選手への夢が崩れ失意の翔也は、ひとり悩み考えるうち、チャンミカのギャルファッションにたどりつき、「ギャルになりたい」と願った。将来に悩んだ末、なんでギャルに!? とは思うが、かつて福岡のイベントでギャルサー「ハギャレン(博多ギャル連合)」の一員としてギャル姿ではつらつと踊る結の姿を思い出し、これだと思ったらしいという仰天の思考の飛躍で「ギャルになろう!」と思ったらしい。
NHK連続テレビ小説『おむすび』第13週「幸せって何なん?」は、作品のメインの要素である「ギャル」にすべてを集約させてきたことで、さらなる混沌をみせた。
自分を変えたくてギャルになろうと思ったものの、「なめんな」とキレられて。途方にくれる翔也がギャルたちに突然半拉致状態となって連れてこられたクラブらしき店に現れたのが、豹柄ギャルスタイルで「あゆだよ〜ん」と現れた歩だった。
思い悩む翔也に、「ギャルってさぁ、自分を偽るためにやってんじゃないの。みんな好きでやってんの」と語りかける歩。そして、形から入った翔也にこう言った。
「格好じゃやなくてココマネしなよ」
ココとはそう、「ギャル魂」である。
「今を楽しんでみたら?」と、突然パラパラを踊り出す歩やチャンミカたち。翔也も一緒に踊ることを促され、ぎこちなく踊るうちにだんだん笑顔を取り戻していく(踊りながら肩に痛みを感じずきれいにあがってそうだとか細かいところは気にしないでおこう)。ギャル魂、インストール完了といったところだ。
とてもいい感じにすべて理解した視点のようにギャル魂とはと説く歩だが、そもそも歩がギャルになったのは、ギャルに憧れていた親友で震災で命を落とした靴職人渡辺(緒方直人)の娘・真紀(大島美優)の思いを叶えるため代わりにギャルになったというところだった気がするが、それもまた細かいところは気にせずいこう。歩もどこかでギャル魂をインストール完了したのかもしれない。
視聴者に、ちょっと古めの野球漫画、グルメ漫画、恋愛漫画が下敷きにされているのではないかとときどき考察されることもあるこのドラマだが、翔也が失意のうちに派手な盛り場を訪れ不慣れなダンスを踊る場面、これって「巨人の星」で飛雄馬がゴーゴーダンスを踊る名場面のトレースのようではないか! そうすると、歩は「お京さん」!? とか考えたらじわじわと楽しくなってきた。