くも膜下出血から奇跡的に復活した平浩二さん、名コンビ・石田社長&保科有里さん…感動と笑いが詰まった【夢グループ20周年記念コンサート】第2部レポート
公開日
更新日
恩田貴子
【夢 石田社長と有里】おなじみの名コンビが歌で魅せる!
「『夢グループ』には、ちょっと変わった方がいます。なんと63歳でデビューした僕です!」(石田)
これまでMCとして出演者とのトークを盛り上げていた石田社長が、歌手として登場。客席から拍手が起こる中、「一人じゃ歌えないんですよ。必ず僕の隣にいる女性、保科さんがいないことには歌えません」と呼び込んだのは、「夢グループ」通販CMでおなじみ、「安くして~」のセリフで知られる歌手、保科有里(ほしなゆり)さんだ。
保科さんと並んだ石田社長は、自身のデビューの経緯を語る。両親にほめてもらうために始めた芸能事業。しかし、突然の父の死により、その目標を失ってしまったと振り返る。
「親父が急に亡くなったときに、『あれ、ほめてもらえてないぞ』と気がついて。夢がなくなってしまい、もう会社やめよう、仕事やめようと思ったんです。そんな中、お葬式で親父の顔をじっと見ていたら、いろんな言葉が聞こえてきた。その言葉を詩に書いたんです」(石田)
その詩に、保科さんが曲をつけ、完成したのがデビュー曲「夢と…未来へ」。静まり返った会場に、石田社長の真っ直ぐな歌声が響く。
歌い終わった石田社長が客席にたずねる。「お客さまは今日、幸せですか?」(石田)
答えのない客席に向かい、「しーんとしてるということは、幸せじゃないのかな(笑)。では幸せになっていただける商品をこれからご紹介します!」と言葉を続け、笑いを誘う。そして、通販コーナーさながらに、二人のCD紹介へ。
「今日ご紹介するCDには、『夢と…未来へ』の他に、保科さんと一緒に歌っている感動のバラード『ごめんなさい、ありがとう』も収録されています。全部で6曲、今日はなんと2000円!」(石田)
「ねぇ社長~、もう少し安くお願いします」(保科)
「幸せになっていただけるなら、半額にします。しかもサインつき。よければ写真も一緒に撮ってください!」(石田)
「社長、ありがとう~。安い、安~い!」(保科)
保科さんがCMでおなじみのフレーズを“生声”で披露すると、観客は大喜び。そんな客席の様子を見て、保科さんもうれしそうだ。
二人の絶妙な掛け合いは、まるで夫婦漫才のよう。息もぴったりのやりとりに、客席にはほのぼのとしたムードが広がっていった。
そして最後に披露されたのは、最新曲「やすくして♡」。通販CMでの二人のやりとりをモチーフにした歌詞で、「シーデー」「デーブイデー」といった石田社長のなまり混じりのセリフも、もちろん歌詞に含まれている。
息の合った(?)かわいらしいダンスを踊りながら歌う二人に、客席からは「社長!」「有里ちゃん!」という掛け声が飛ぶ。この親しみやすさとサービス精神こそ、「夢グループ」の真骨頂。
石田社長の朴訥とした歌声と、どこか照れくさそうな姿に、客席からは温かなまなざしが注がれていた。
【二代目橋幸夫yH2】歌謡界の未来を担う、フレッシュな風
手を振りながら小走りでステージに登場したのは、二代目橋幸夫yH2(ワイエイチツー)の進(すすむ)公平さんと徳岡純平さん(本来は三人組だが、この日は二人での出演)。
「4年前、橋さんが『夢グループ』に所属された時点で、橋さんは78歳。僕は橋さんに、こんな話をしました。『橋さん、こんなことを言ったら失礼かもしれないけど、30年後、40年後に、橋さんの歌を引き継ぐ歌い手がいたらいいよね』と。すると橋さんも僕の考えに賛同してくださり、二代目を探すオーディションを開催することになりました。1000人以上の応募者の中から選ばれたのが、彼らyH2です」(石田)
紹介を受け、声を揃えて挨拶をするyH2の二人の姿は、とにかくフレッシュ。大先輩たちのステージが続いた中で、彼らの存在は爽やかな風を送り込んでくれるようだ。
ちなみに二人は、所属事務所である「夢グループ」の社員としての顔も持つ。2023年に「恋のメキシカン・ロック」でデビューして以降、社員として仕事に励みながら、橋さんのもとで歌を学んでいる。
そんなyH2の二人が披露するのは、橋さんから受け継いだ「恋のメキシカン・ロック」。軽快なリズムが流れると、自然と手拍子が起こる。
「この曲の“ゴーゴー”のところ、右手をグーにして、一緒にやっていただけますか⁉」(進)
元気な誘いに応えて、客席のあちこちでリズムに合わせて拳が揺れる。yH2の二人は、歌いながら客席に降り、「ゴーゴー!」と観客と拳をコツンと合わせてまわる。はつらつとした笑顔で観客とコミュニケーションをとる二人の姿に、会場の空気がさらにやわらいでいく。
橋さんの楽曲をyH2が歌うことで、その印象は大きな広がりを見せている。昭和の情緒に彩られた名曲に、若々しいエネルギーと現代の空気が加わることで、「聴く歌」だったものが、誰もが自然と参加できる「楽しむ歌」へと姿を変えていた。
2曲目の「恋をするなら」でも、二人の姿は客席に。観客としっかり視線を合わせながら、丁寧に言葉を紡いでいく。その表情、声からは、橋さんの背中を見て学んだであろう、歌に向き合う真摯な姿勢が伝わってきた。
歌い終わった二人に、温かな拍手が送られる。若き二人と、橋幸夫の歌を愛してきた世代、今ここにいる人たちの心の中で、名曲が生き生きと息づいている。そんなふうに思える時間だった。
