くも膜下出血から奇跡的に復活した平浩二さん、名コンビ・石田社長&保科有里さん…感動と笑いが詰まった【夢グループ20周年記念コンサート】第2部レポート
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恩田貴子
どこかゆるくて、一度見たら忘れられない……。そんな通販CMでおなじみの「夢グループ」が主宰する「夢コンサート」。現在、創立20周年を記念したスペシャル公演が全国各地で開催中。ここでは、2025年6月4日、東京都羽村市で行われた「夢グループ20周年記念コンサート」第2部の模様を詳細にお届けします。
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>>狩人、チェリッシュ…青春を彩った昭和の名曲と再会!【夢グループ20周年記念コンサート】第1部レポート「夢グループ20周年記念コンサート」第2部をレポート
東京都羽村市の「プリモホールゆとろぎ」(羽村市生涯学習センター)にて行われた、「夢グループ20周年記念コンサート」。狩人ら5組の歌手がヒット曲とトークを披露した第1部が終了。休憩時間のロビーは、CDやグッズを求める人々でごった返していた。
それぞれの歌手のブースが設けられ、熱心なファンが列をなしている。ひときわ長い列ができていたのは、狩人のブースだ。そこには、ステージ衣装のままの高道(たかみち)さんが立ち、ファン一人ひとりと気さくに言葉を交わしていた。
高道さんは、そんなファンの肩をギュッと抱き寄せ、ツーショット写真の撮影に応じていく。憧れのスターとの思いがけない触れ合いに、女性たちは少女のような笑顔を見せる。
このアットホームな雰囲気、スターとの距離の近さこそが、「夢コンサート」が長年愛され続ける理由の一つなのだろう。ロビーのあちこちで、笑顔と会話の花が咲いていた。
【平浩二】苦難を乗り越えた、奇跡の歌声
休憩が終わり、第2部の幕が上がる。ステージに登場したのは、「バス・ストップ」のヒットで知られる平浩二さんだ。
実は平さんは、2021年に開催された「夢コンサート」の最中にくも膜下出血を発症。緊急搬送されたという壮絶な経験を持つ。まさに奇跡の生還。しかし、彼はステージでこう語り、客席を驚かせた。
「ドクターヘリで運ばれた大学病院で手術を受け、1カ月の入院。そしてその2週間後に、『夢コンサート』で復帰させていただきました。当時、後遺症が心配だったんです。でもね、不思議なことに、僕の場合はそれまで以上にとても声が出るようになったんです」(平)
その言葉に、会場からはどよめきと温かい拍手が沸き起こる。
平さんの代表曲「バス・ストップ」を聴けば、ベルベットのようになめらかで、どこまでも伸びていくような歌声は健在。いや、むしろ以前よりも声量が増していることがわかるだろう。この日歌ったカラオケのキーは1972年の発売当時のまま、ということにも驚かされた。
「こうして元気にステージで歌わせていただき、健康とはこれほどありがたいものなのかと、しみじみ感じております。そんな僕からお願いがあります。皆さま、いつまでも体に気をつけて、健康で、元気に過ごしてください。そしてその元気な心と体で、ステージに立つ僕たちを応援していただけたら、これほどうれしいことはありません」(平)
客席に向かって、メッセージを送ったあと、披露したのは、入院中に構想を練ったという「愛する君にありがとう」。
大病を乗り越え、さらに力強さを増したその歌声は、聴く者に勇気と希望を与えてくれる。多くの観客が、彼の歌う姿から明日への活力をもらったことだろう。
【ZERO】心震わせ、体も弾むZEROの二つの顔
続いてステージに登場したのは、韓国出身の歌手・ZERO(ゼロ)さん。胸元にラインストーンで「ZERO」と描かれた黒いTシャツを身にまとい、ステージに軽やかに駆け込んでくる。その姿に客席からは拍手が沸き起こり、ファンからの歓迎ムードに包まれる。Tシャツは、長年応援してくれているファンからのプレゼントだという。
石田社長とのトークでは、ドラマ「美しき日々」で、劇中に登場する覆面歌手“ZERO”として主題歌「約束」を担当し、大きな注目を集めた当時のことが語られた。
「ZERO君、韓国では有名だったんでしょう? でも、日本ではまだ誰にも知られてなかったんだよね」(石田)
「そうなんです。それなのに、羽田空港に着いたら、300人のファンの方が出迎えてくださったんです。僕の顔も知らないのに、歌を聴いて集まってくださったんですよ。韓国を発つときの見送りは、ゼロだったのに(笑)」(ZERO)
そんな和やかなトークのあと、一曲目に歌ったのは、韓流ブームの火つけ役とも言われるドラマ「冬のソナタ」の主題歌「最初から今まで」のカバー。流れるような旋律にのせて、切なさと懐かしさが交差するような歌声が、ホール全体を包み込んだ。
曲の終わりには、会場のあちこちから「ホウ……」とため息のような声がこぼれ、聴く人の心が震えたことが伝わってくる。
「20年前、韓流ブームに火がついた頃、このドラマが放送されていました。みなさん、覚えてますか? 男性の主人公は……、そう、ぺ・ヨンジュンさん。そして女性の主人公は? チェ・ジウさんですね。今日、会場の女性のみなさんを見ていると、チェ・ジウさんのように美しい方ばかり……。すみません、ちょっと暗くてよく見えませんが(笑)」(ZERO)
ユーモラスな語り口に、会場からは笑いと拍手が起こる。続く2曲目は、ダンサブルなナンバー「別れ」。バラードから一転して、軽やかにステップを踏みながら、ステージ全体を使って歌い上げる。
ステージを後にするその背中まで、さわやかで気取りがない。甘いマスクと、透き通るような歌声、そして笑いを交えたトークで、ZEROさんはこの日もまた、新たなファンの心をつかんだようだ。