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【ガーデニング】真夏のバラの正しいケア方法!暑さに強いバラ[5選]

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吉原美奈子

【ガーデニング】真夏のバラの正しいケア方法!暑さに強いバラ[5選]

日本人育種家による日本の感性を表現した禅ローズのバラ、‘アナ2014’。やさしいピンクベージュのカップ咲きで黒星病に強く、耐暑性にもすぐれています。那須高原コピスガーデンにて。(筆者撮影)

近年の8月は猛暑を通り越して酷暑の季節。人だけでなくバラにとっても体力を消耗する厳しいシーズンです。真夏のバラのお手入れの基本とともに、耐暑性の強い品種もご紹介します。

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【ガーデニング】真夏のバラの正しいケア方法!暑さに強いバラ[5選](画像2)

往年のつるバラ‘ドルトムント’。1955年作出の古い品種ですが、夏にも少し咲き、秋も咲きます。軽井沢レイクガーデンのパーゴラに光沢のある赤い花がマッチ。(筆者撮影)

バラの暑さ対策の基本

バラは西アジア、小アジア地方が原産ですから、暑さにことさら弱いわけではありません。しかし、園芸品種の多くがフランスやイギリスで品種改良されて誕生したことから、35℃を超えるような日本の暑さには耐えられない品種もあります。

日本の夏は夜でも気温が下がりにくいため、土が常に高温になり、根はその影響を受けて弱り、株全体が弱って葉を落としてしまうのです。筆者もオールドローズにあこがれ、日照と通風のよいベランダで鉢栽培をした経験がありますが、夏の暑さで葉を落とし、枯らしてしまった苦い経験があります。

冬の落葉はバラの生理現象ですから問題はありませんが、生育期の夏に葉を落とすことは避けないといけません。一にも二にも緑の葉を落とさずに保つように心がけましょう。

対策としては、土を直射日光から守るために、敷きワラやバークチップなどで覆うマルチングをし、毎朝十分に水やりをします。ハダニを予防するため、時々ホースの先をつぶして株全体を強くシャワーする葉水を行うのもよいでしょう。

また、限られた土の量で栽培する鉢植えバラは、地植え以上に根が影響を受けやすいので注意します。マルチングの他に、鉢の外にさらに大きな鉢をかぶせる二重鉢にする、熱を吸収する黒い色の鉢は避ける、西日は避ける、遮光ネットを張るなどの工夫をしてみてください。

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おすすめ5選の‘アクロポリス ロマンティカ’の仲間、‘ベル ロマンティカ’。短く剪定しても咲きますが、シュラブ樹形なのでトレリスに這わせると素敵。

苗のうちは夏花を咲かせない

四季咲き性のバラは連続開花性があり、夏にも蕾をつけます。しかしバラにとって開花のプロセスは体力を使う仕事であり、花を咲かせた後に株は弱ります。
ましてや暑さで弱っている株が花を咲かせると、ますます弱ってしまいます。

2000年以前に作出されたバラの場合、例外もありますが、夏花は貧弱で花形も満足のいかないものも多くあります。それでも咲いてくれたバラをいとおしむ気持ちもありますが、無理に咲かせずに、蕾がついたら蕾の付け根から折りとるピンチ(摘蕾)をするのも一つの方法です。

特に4月に植えた新苗の場合、順調に育って夏に蕾をつけたとしてもピンチし、花を咲かせるのは我慢してください。まだ株は幼児のようなもの、花を咲かせるのは木が成熟する秋まで待ちましょう。

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那須高原のコピスガーデンに咲いていた真夏の‘パットオースチン’。夏花は花弁が少なくなりますが、さらりとした風情もまた魅力的。

イングリッシュローズとは、イギリスの育種家デビッド・オースチン氏によって開発されたバラの系統で、オールドローズの香りや花形と、モダンローズの四季咲き性、耐病性をあわせ持っています。カップ咲きやロゼット咲きが多く、ナチュラルガーデンにぴったりの優雅な雰囲気を演出します。

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オールドローズとは、1867年に最初のモダンローズである‘ラ・フランス’が登場する以前に育種・栽培されていたバラの総称です。ダマスク系やガリカ系など豊かな香りと花姿を特徴とする系統がいくつかあり、多くは一季咲きです。自然な樹形の美しさから、ナチュラルな庭づくりによく取り入れられます。

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マルチングは、土の表面をワラやバーク(樹皮)チップ、プラスチックフィルムなどで覆うことです。乾燥防止、雑草抑制、土の流出防止、地温調節などの効果があります。

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四季咲き性とは、特定の開花期をもたず、条件が整えば一年に複数回花を咲かせる性質を指します。​バラやベゴニアなどにこの性質をもつ品種があり、長期間花を楽しむことができます。

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ロゼットとは、地面に葉が放射状に広がるように生える植物の葉の形を指します。タンポポが代表的な姿です。

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シュラブとは、ガーデニングでよく用いられる低木の総称です。生長が安定し、剪定によって形を整えやすいことから、庭や花壇の基盤となる植栽として重宝されています。バラの一種のシュラブローズも有名で、初心者から上級者まで幅広く愛されています。また、季節ごとの景観を楽しめる落葉樹や常緑樹があり、生育環境やデザインに応じて選べるのも魅力的です。

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地植えとは、植物を鉢やプランターではなく庭の地面に直接植える方法のことで、根が土中に自由に広がるため株が大きく育ちやすく、水やりや肥料の持ちもよくなるといったメリットがあります。例えばバラや宿根草、樹木類などを長期間育てたい場合に適していて、植えつけの際には土壌の排水性や日当たり、風通しなどを考慮して場所を選ぶことが大切です。

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ハダニは、庭や鉢植えでよく発生する小さな害虫で、植物の葉裏に付着し汁を吸うことで被害を与えます。暖かく乾燥した環境を好み、特徴的な斑点模様や葉の変色、枯れを引き起こします。特にバラや観葉植物で被害が目立ち、防除には葉水や専用の薬剤が有効です。定期的な水やりや湿度の管理で予防を心がけることも重要です。

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誘引とは、植物の枝やつるを支柱やフェンスに沿って結びつけ、形を整えたり、日当たりをよくしたりする作業です。生長に合わせて、ひもなどでやさしく固定します。見た目を美しくするだけでなく、花つきや収穫量にも影響します。

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葉水とは、霧吹きなどで植物の葉に直接水をかけることをいいます。乾燥を防ぎ、ハダニなどの害虫対策にもなります。特に室内で育てている観葉植物は空気が乾燥しやすいため、葉水で適度な湿度を保つことが大切です。シリンジとも呼ばれます。

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花弁とは、一般に「花びら」と呼ばれる部分で、花の中でも最も視覚的に目立つ構造です。昆虫を引き寄せるための鮮やかな色や形、香りを備えており、園芸植物ではこの花弁の特徴が観賞価値に直結します。八重咲きや一重咲きの違いも花弁の枚数に関係しており、育種や品種改良ではこの部分の改良が重点的に行われます。雨や暑さで傷みやすいため、花弁の丈夫さもガーデナーには重要なポイントです。

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樹高とは、地面から樹木の最も高い部分までの高さを指す言葉で、庭木やシンボルツリーを選ぶ際の重要な目安となります。植物の種類や品種によって最終的な樹高には大きな差があり、適切な樹高を見極めて植栽することで、住宅や周囲の景観と調和したガーデニングが実現できます。また、生長のスピードや剪定のしやすさにも関わるため、メンテナンスの観点からも考慮すべきポイントです。

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樹形とは、樹木の全体的な形や姿のことで、自然に育ったままのものから、人の手によって整えられたものまで、さまざまなスタイルがあります。たとえば「立ち性」「横張り性」「ほうき状」などがあり、ガーデニングでは庭のデザインやスペースに合わせて選ぶことが多いです。また、剪定によって希望の樹形をつくることも可能で、生け垣やシンボルツリーなどにおいて重要な要素となります。理想的な樹形を保つためには、生長の段階に応じた手入れや剪定が欠かせません。

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新苗とは、その年につぎ木やさし木でふやされた若い苗のことを指します。​特にバラ栽培において用いられる用語で、春から初夏にかけて販売されます。

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品種とは、ある植物の中で、花の色や形、実の大きさなどの性質が、明らかに他の植物と異なる栽培植物のことです。園芸品種や栽培品種の略称です。

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剪定とは、植物の不要な枝を切り取る作業のことです。形を整えたり、風通しをよくしたり、枝分かれを促したりする目的で行われます。剪定を行う目的に合った正しい時期に行うことが大事です。

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