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急激に進む母の認知症。変わりゆく親子関係に戸惑う私がいる【認知症母との介護生活#54】

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更新日

ぱいなっぷりん

60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。

▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼

>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】

果物の名前は思い出せても…

母はここのところ
急激に認知症が進んでいる

物の名前が
頻繁にわからなくなる

一緒に夕飯の準備をしていても

納豆を手渡しして
ネギを指で指しながら

この納豆にネギを入れて

と明確に指示しないとわからない

それでも
ネギの隣りにあるお茶碗を

これ?

と聞いたり

近くにあるピーマンを
手にとってみたり

そして先日は

食後に出した
デラウェアというぶどうを

母は一房手に取り
そのままがぶりと
口に入れたのだった

想像のナナメ上をいく食べ方に
驚いて

お母さん
このぶどうは
こうしてひとつひとつ
房から外して

皮から押し出して
食べるのよ

とやってみせたんだけど

なんで?

と言いたげな表情で
口をもぐもぐもぐもぐ…

しばらくして

ほらできた

そう言って
口から皮の塊を
べろりと出して見せた

同じぶどうを
爪楊枝で一粒一粒刺して
食べていた日もあった

白桃を
フォークで潰しながら
食べてた日もあった

食べ終わったスイカの種を
大事そうに集めて小皿に盛って
台所の隅に置いていたことも

盛り塩か?

まあいずれのことも
別にダメってわけじゃ
ないけど

でも
かつて自分が当たり前に
やっていたことを
忘れてきつつあるのは
確かだ

そのことは
本人も自覚し
不安に感じているようで

最近は
何でも私に聞いてくる

これでいいの?

どうするの?

介護する側としては
肉体的に大変なことが
徐々に増えてきているけれど

母が
こんな具合に
意固地になったり
言い張ったりしなくなったことで

私は
今は精神的にラクで

母のことが
かわいい子どものように
見えることもある

またま〜にだけど

聞くところによると

そう感じるようになると
そろそろ親から

母親と誤認され
おかあさんと呼ばれる日も
近いらしい

げっ

それを知ってから

私は時々
そう呼ばれた時の自分を
想像することがある

もし母から
信頼しきった表情で

おかあさん

と呼ばれたら

少しづつ壊れていく母を
傍で見てきた私としては

親が親でなくなってしまった
というショックを
受けるようなことは
ないと思う

それよりも

長い親子関係の中であった
母の
今でも許せないあの行為や
忘れられないあの言葉

あの時おかあさん
私にああいう事したよね

こういうことで私を傷つけたよね

なんであんな言い方したの?

今になって
自分はボケちゃったからって

子どもになっちゃったからって

なかったことになんて
私はできないよ

そんな
普段は心の奥の奥に隠された
自分の中で未消化な
負の感情が

母からのおかあさんという言葉に
反応して
突然吹き出すんじゃないか

それが
ちょっとコワイ

もちろん

そんな気持ちがあるにしても

私は
母のことが大好きだし
大切に思ってる

それはウソじゃない

▼次回はこちら▼

>>昭和の恋愛と認知症の母の記憶。ツンデレは今も健在で…【認知症母との介護生活#55】

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