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「老後資金2000万円もない…この先が不安です」に、禅僧・枡野俊明さんが「大丈夫」と説くワケ

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ゆうゆう編集部

老後資金が十分なのか不安を感じる人は少なくありませんが、枡野さんは「大丈夫」と言います。さて、その訳は? 禅僧・枡野俊明さんのお考えをくわしく聞きました。

門を開けば

「開門福寿多(門を開けば福寿多し)」
自ら門を開くことで福を招き入れようという禅の言葉です。

今回は「老後資金が少なく不安」というご相談です。
枡野さんのアドバイスは?

<今月のテーマ>
「老後資金が少なく、不安です」

会社勤めを3年した後、結婚した相手(今の夫)が自営業だったため、年金は国民年金(老齢基礎年金)のみです。これまで夫婦で無我夢中でやってきましたが、貯金は2000万円にはほど遠く、老後が心配です。幸い夫婦とも今のところは健康ですので働けるうちは働きますが、この先のことを考えると夜も眠れません。

ヒマラヤほどの黄金も人の欲は満たせない

私たちが生きていくうえで、どれだけの財産があれば安心できるのでしょう。あればあるほど不安は消えていくのでしょうか。

そうではないと思います。お釈迦様はこう言いました。「ヒマラヤの山々をすべて黄金に変えたとしても、一人の人間の欲を満たすことさえもできないだろう」と。

人間の欲望は、とどまるところを知りません。2000万円の貯蓄があったとしても「もっと必要かもしれない」と不安になるものです。目標額をクリアすれば次の目標額が頭に浮かぶでしょう。際限がありません。

禅には「山僧活計茶三畝 漁夫生涯竹一竿」という言葉があります。これは、「僧は茶畑の畝が三つほどあれば暮らしていける。漁師は竹竿1本あれば生涯を送ることができる」という意味です。贅沢をしなければ、たったこれだけのものでも人は十分生きていけるのだという清貧の意義、「足るを知る」ことの大切さを説いている言葉でもあります。

相談者さんは、「貯金が2000万円はないと不安だ」と考えているようです。これはいわゆる「2000万円問題」ですね。2019年に金融庁の金融審議会が発表した報告書によるもので、「夫65歳・妻60歳以上の無職の高齢夫婦世帯の場合、年金だけでは月5万円以上の不足が出る。今後30年生きると仮定すると2000万円の預貯金が必要だ」という内容だったと思います。でもこれは、あくまで机上の計算による一般論。人それぞれ事情が違いますから、2000万円も必要ない人もたくさんいるはずです。

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