「老後資金2000万円もない…この先が不安です」に、禅僧・枡野俊明さんが「大丈夫」と説くワケ
必死に貯めた財産もあの世では役立たない
幸いなことに、ご夫婦ともに健康なのですね。それは何よりです。この健康を少しでも長く維持することが、お金を使わずにすむ最もいい作戦です。規則正しい生活習慣と運動習慣を保ち、体にいいものを食べ、腹八分目を心がけましょう。定期健診を受けることも大切です。もし体調で気になることがあれば、早い段階で医師に相談しましょう。
それでも病気になったりケガをしたりすることもあるでしょう。その場合に備えて医療保険には入っておきつつ、国や自治体のサポート制度もきちんと調べておきたいものです。要介護になった場合も、安い費用で入れる施設はあります。お金がない人ほど情報が大事といいます。調べておくと安心できるでしょう。
幸いなことに、年齢が上がると使うお金も減るものです。周囲を見ていても、「若い頃のように欲しいものがない」と言う人も多いと感じます。ですから、あまり必死に「貯金しなくちゃ!」と思わなくていいのではないでしょうか。2000万円貯めたとしても、夫婦が病気をせず、要介護にもならず、長く収入を得ながら暮らしていければ、亡くなったときにそのお金は丸々残ってしまいます。高齢になると使い道もないでしょうし、あの世に持っていくこともできません。
大切なことは、自分がこの先も生きていくための「茶畝」や「竿」を大切にしていくことです。そこで日々の糧を得ることができれば十分。「一般的には」「多くの人は」という言葉に惑わされず、自分たちらしい老後の姿をイメージしていきましょう。
アドバイスいただいたのは
枡野俊明さん
曹洞宗徳雄山 建功寺住職
1953年神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山 建功寺第18世住職。庭園デザイナー。多摩美術大学名誉教授。「禅の庭」を通して国内外から高く評価され、2006年ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に。『悩みを手放す21の方法』(主婦の友社)など著書多数。
取材・文/神 素子
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