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いま読み返したい、内館牧子さんの言葉。『老害の人』が描く、他人事ではない老いのリアル

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ゆうゆう編集部

年齢を重ねて気づく「本当にやりたいこと」

逆襲の先に、福太郎たちが目指したこと、それは内館さん自身の実感とも重なるという。

「以前、高齢者会で大相撲の話をしたとき、皆さんがとても喜んでくださって。好きで学んできたことが、人を笑顔にできる、お役に立てる。そう思えて嬉しかったんです。誰しもある年齢になったら、自分がこれまで培ってきたことを、今度は社会にお返ししたい、そんな利他の心境になるのではないかしら」
 
長年の経験や知恵は、高齢者が等しくもっている無形の財産なのかもしれない。

「だからこそ、生かせる場所がきっとあるはずです。福太郎のように恵まれた環境である必要はないし、昔の肩書や立派な経歴も関係ありません。80歳過ぎたらみんな一緒。横一列なんですから。
 
よく雑誌やテレビで、いくつになっても挑戦などと言うけれど、あれって結局、若い人たちから老人への押しつけではないでしょうか。利他の気持ちとも真逆。私、耳にするたびに腹が立つの(笑)」

著者プロフィール
内館牧子
うちだて・まきこ●1948年、秋田県生まれ。13年半の会社員生活を経て、88年に脚本家デビュー。「ひらり」「毛利元就」などの作品で注目を集める。小説家、エッセイストとしても活躍中。近著は『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』の高齢者小説3部作。

撮影/宮﨑貢司

※この記事は「ゆうゆう」2023年2月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
※2023年1月24日に配信した記事を再編集しています。

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