【参加費1万6000円で水だけ?】意外と過酷な「代理婚活交流会」の現実…30代独身の息子を持つ親が困惑した「お相手」親子の関係性
父親はにこやかに笑うと、顔を近づけておもむろに切り出す。
「先ほどはありがとうございました。ちょっとお話しできなかったことがありまして。今、追加でいいですか」
親同士の話が盛り上がっていたとき、別の母親から声がかかって中断、入れ替わった経緯がある。「追加」というのはやっぱり見合いの件か、そう私は昂った。
「実は今日がはじめての参加じゃなくて、これまでいろんな交流会に行ったんです。そこで身上書を交換した親御さんたちから、ウチの娘は『ぜひ』って熱望されましてね」
父親からは予想と違う話が振られたが、どうやら娘は「引く手あまた」と言いたげだ。
「ステキな娘さんですから、たくさんお声もかかるんでしょうね」
当たり障りなく持ち上げてはみたものの、一転して気持ちはざわつく。
「まぁそれほどでもないですけど、この前『ぜひ』ってお願いされたお父さんは、○○って会社の社長さんだったんです」
その相手から誘われ、都内の有名店で食事をしたという。高価な懐石料理をごちそうになり、息子との見合いを懇願された。娘に話すと渋々ながら了承し、当人同士も有名店で見合いをした、そんな話に目を細めてつづける。
「なにしろ相手のお父さんは立派な方だし、息子さんもエリートで、条件としては言うことないじゃないですか。お見合いのあと、相手の方はわざわざ娘の住むI市まで会いに行ってくれたりして、2人は何度かデートしてるんです」
いったい何が言いたいのだろう。立派な父親に懇願され、エリート男性が遠方に出向くほどの娘だから、おまえのところなんてお呼びじゃないという意味か。それとも我が家も同様に、有名店で見合いを組めと言いたいのか。
返す言葉が見つからないまま、私はあいまいな笑いを作った。父親はいっそう顔を近づけると、こちらの反応を意識するかような上目遣いをした。
「あちらはずいぶん期待してたみたいですけど、娘のほうは乗り気になれないからって、結局お断りしたんです。それでね、ウチの娘はデートのとき、相手にキスもさせてませんから」
