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【佐藤愛子さん】の娘・杉山響子さんが明かす「母の認知症」と施設入居まで、100歳の今を書き残す理由とは?

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ゆうゆう編集部

母に直木賞作家・佐藤愛子さんを持つ杉山響子さん。長年、母の視点からエッセイで描写されてきた杉山さんが、娘の視点から母をつづったエッセイ『憤怒(ふんぬ)の人 母・佐藤愛子のカケラ』が話題です。これまでずっと「母のことを書くのはいやだった」という杉山さんに、なぜ「母のこと」を書こうと思いたったのかなどを伺いました。

私が知る母のすべてを書き残しておこう

タイトルの『憤怒の人』とは、直木賞作家・佐藤愛子さんのこと。著者の杉山響子さんは佐藤さんの娘である。愛子センセイの「娘と私」シリーズの愛読者には、おなじみの「夢見る娘」響子さんだ。その響子さんが、2025年、雑誌『女性セブン』に、母と自分の現在と過去をつづるエッセイを連載。それが1冊にまとまった。

これまでずっと「母のことを書くのはいやだった」という響子さん。なぜ「母のこと」を書こうと思いたったのか。

「2024年に、娘の桃子が『佐藤愛子の孫は今日も振り回される』という本を出したんですね。それを読むと、同じ家に住んで、同じエピソード、人物に接しても、私の目から見ているものとは違う。私が書かなければ、娘の書いたものが佐藤愛子の家庭像として定着してしまう、私から見た違う側面を書いておかないと、と思ったんです」

本書の第1話では、100歳に近づいた母、佐藤愛子さんの変化がつづられ、その最終行で、変化が「アルツハイマー型認知症の始まりだった」ことが明かされる。100歳になっても、かくしゃくとして元気あふれる愛子先生のイメージをいだいていた読者には、衝撃的な事実だ。

2話以降にも、自宅が認識できず妄想の世界に入っていく母、「なんだかわけがわからなくて不安なんだよ」と半泣きみたいな顔で訴えてくる母、が登場する。「佐藤愛子」の認知症を書くにあたっては、相当の覚悟が必要だったのでは……。

「強くて凛々しい人、佐藤愛子が認知症になって下の世話も必要になって、という現実を書いたら、母のファンにはショックを与えてしまうのでは、という心配はありました。でも、嘘はつけないな、とも。どんなに気が強くても、老いれば弱くなるのは自然であり、みんながたどること。正直に書こうと思ったんです。ただ、読者の方を傷つけないように丁寧に書かなければいけない、という覚悟はありました。それと、これまで母について書く機会は何回かあったんですが、ことごとく母に手直しされてきました。母が気に入る文章を、と思うと不自然になるので、それを振り切ってでも書く、という覚悟もありましたね」

愛子さんが自宅から施設入居へ至る顚末も赤裸々に書かれている。症状が進み、自宅での介護は不可能と理解しながらも、施設に入れることへ罪悪感を抱き、これでよかったのだろうか、と心を痛める響子さん。自らの介護経験と重ねる読者も多いだろう。

愛あふれる、母と娘のかけがえのない時間

『憤怒の人 母・佐藤愛子のカケラ』には、娘としてのさまざまな思いがあふれている。打てば響くような会話を交わしてきた母、強くていつもかなわない人だった母が、認知症によって目の前から消えていく。恐怖、悲しみ、情けなさ、どこにぶつけていいかわからないいら立ち……。だが、響子さんの筆はどこまでもあたたかく、愛情深く、悲しみの底には沈まない。テンポのいい筆運びにユーモアもたっぷり。読みながら、響子さんと一緒に泣いたり笑ったり。

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