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【加藤登紀子さん82歳】人生最大の「まさか」は「結婚」。世間を驚かせた獄中結婚の理由は「説明できない」

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志賀佳織

別れた恋人を8年も思い続けるなんて……

それにしても、度重なる「まさか」に、加藤さんはどうしていつもこうポジティブでいられるのだろうか。「参った」と思うことはないのだろうか。

「参っているんですよ、きっと。でもその『参る』ことを瞬間に終わらせたいというのが私の気持ちの中にあるんですね。ピンチをチャンスに変えたい。つまり『参る』ことが嫌なんです。ほら参っていることを愛する人もいるじゃない。それが私にはできないんだね。だから、以前、恋人と別れた後、8年も思い続けて悩んでアル中にまでなった女性と話をしたことがあるんですけど、『別れるなら次を見つけてからにしたらいいんじゃないの?』って言ったぐらい(笑)。8年も昔の男を思い続けて参り続けるなんて、私には考えられないわけです。それは強いからではなくて、その反対。別れた後がつらいから、次を見つけてから別れるみたいな、そのぐらい私は弱い女です」

弱いから決定的に「参る」前に、ネガティブに傾きそうな出来事をポジティブに変換させていく。なるほど、それは人生の荒波と闘っていきていくときに、とてもしなやかで元気の湧いてくる方法だ。

加藤さんは、過去のインタビューで、この四半世紀の自身の大きな出来事の筆頭に、2002年に夫の藤本敏夫さんを亡くしたことを挙げていた。一番の「まさか」を分かち合ってきた最愛の伴侶を失ったことは、「まさか」どころではない、大変な悲しみだったことだろう。しかし、加藤さんは泣き暮らしているばかりではなかったのだ。藤本さんが主宰を務めていた「鴨川自然王国」を引き継ぎ、改革すべきはし、次女でミューシャンのYaeさん夫婦に託した。

そのときの気持ちを、「必死になって発奮しました」と語っていた加藤さん。発奮とは何といい言葉なんだろう。加藤さんはこれからも「説明のつかない」大事なことに出合いながら、発奮していくに違いない。

「いろいろな人との出会いについては、泣きながら書いた部分もありますよ。でも奮い立つよね。尾崎(豊)さんにしても、ジョン(レノン)にしても、ギリギリまで苦悶して自分の限界まで、何かできることはあるはずだと最後まで生きてくれた。だから私も、こんな不埒な時代ではあって落ち込むことはあるけれど、瞬間落ち込んだら、もう次は発奮したいんですよ。こんな時代にもかかわらず、ね。あ、そうだ。『さ・か・さ』『ま・さ・か』の次は『にもかかわらず』にしよう(笑)。にもかかわらず、私は発奮していきますよ」

【Information】

『「ま・さ・か」の学校 ピンチはチャンス』

「知床旅情」をはじめとするさまざまなヒット曲の裏にある運命的な物語や、これまで巡り会ってきた人たちとの貴重な思い出、そして思いがけず体験することになったハイジャックなどなど、これでもかの「まさか!」な出来事に満ちた加藤登紀子さんの半生を振り返った一冊。どんな「まさか」も笑って楽しんで明日への糧に変えていくその姿は、前作『「さ・か・さ」の学校 マイナスをプラスに変える20のヒント』と併せて、私たち読者に大きな力を与えてくれる。

「まさか」の学校:ピンチはチャンス

加藤登紀子(著)
時事通信社(刊)
※詳細は以下のボタンへ

「TOKIKO KATO CONCERT2026 明日への讃歌 ジーナの生きた100年」

スタジオジブリの映画『紅の豚』でジーナを演じた加藤登紀子さん。劇中でジーナが歌う「さくらんぼの実る頃」は、1871年、パリで起こった市民革命の中から生まれた歌だ。『紅の豚』の舞台は1929年から30年頃の、また次に戦争が始まろうとしていた時期。ジーナより50年後に生まれた加藤さんが、今、その後を生きたジーナの歳月を自身の大切な歌で綴る。

6月20日(土)東京国際フォーラムホールC 開場 14:45 開演 15:30 SOLD OUT
7月11日(土)千葉県文化会館 開場 14:45 開演 15:30
全席指定8000円 (問)トキコ・プランニング 03-3352-3875

取材・文/志賀佳織 撮影/中村彰男

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