50代のひとり旅は「ついで旅」でいい。岸本葉子さんに聞く、おっくうのハードルを下げるコツ
「ひとり旅、してみたい。でも少し不安」——そんな方も多いのでは? 「50代は『ひとり旅』の適齢期」と語る、エッセイストの岸本葉子さんが、50代で再開した旅の楽しみ方を綴った新刊が話題です。『50代からのしあわせ「ひとり旅」』から一部抜粋して全5回でお届けします。第2回は、「ついで旅」のすすめ!
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>>50代のひとり旅は頑張らなくていい——神戸のホテルで味わった“極小の旅”の満足感【岸本葉子さん】始めやすいのは「ついで旅」
ひとり旅をしたくなってきても、一から計画を立てるのは、エネルギーが要るものです。若い頃にひとり旅の経験がある私も、おっくうで、なかなか腰が上がりませんでした。
とっつきやすいのは「ついで旅」。出張でも、別の町に住んでいる子どもに会いにいくとか、親族の集まりとか私的な用事でも、何かで出かけなければいけないとき、ついでにひとり旅をするのです。用事のある町かその周辺で、1泊付け足して。
かつての私は、この「ついで旅」もなかなかできませんでした。出張はしていたので「ついで旅」の機会はあったのに、したことがありませんでした。介護の始まる前もです。
出張の際、初めて行く場所で初めての人々に次々と挨拶し、会話を絶やさないようにするのは、とても消耗するものです。人嫌いなわけではなく、むしろ感じよくふるまいたい、よい雰囲気を保ちたいと思う方です。その思いが過剰なのかもしれません。いわば「頑張りすぎる」。
社会生活では、誰もが多かれ少なかれ努めていることで、頑張り「すぎる」というのはおこがましいようで、いい大人が、誰もがしていることを苦手というのも、みっともない気がして、自分のその性質をなかなか認められませんでした。
なので、なんで疲れているのかわからないまま、とにかく一刻も早く帰りたい。まさしくホームである自分の家に、一刻も早く身を置き力を抜いて、落ち着きたい。
この町で行ってみたいところはあるけれど、機会を改め出直せばいい。息が浅くなっているときに深呼吸を求めるかのように、まっしぐらに家へ向かっていました。
その私が1泊付け足し「ついで旅」をするようになったのは、介護を経たことに加えて、気持ちの切り替えができるようになったことが大きいです。
いい年してみっともないからと、ないフリをしていた自分の弱点を認める。どんな状況に自分が疲れやすいかを、よく観察して、それを避けながら、あるいは疲れをとるように旅をする。
ひとことでいえば旅先を「ホーム」にすることです。旅先でも、慣れた環境に身を置くことです。
