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朝ドラ【風、薫る】ツヤを見守りながら、現実の厳しさを思い知る回。「きっと夢は叶う」と信じるりんの、お嬢様の立ち位置

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田幸和歌子

「私、間違えてしまいました」と、再びりん

しかし、夢を叶えるということは、やはり簡単なものではない。看病婦の仕事をやりながらの看護科の授業への参加は、当然睡眠時間などを削ることになり、時にふらついたりするような姿もみられた。そしてついに患者への解熱剤投与を忘れるというミスをおかしてしまい、多田から解雇を告げられる。作中のりんだけでなく、我々視聴者にもツヤの思いや努力する姿はよく伝わってきた。ツヤさんがんばれという気持ちを抱きながら見る視聴者も多かっただろう。しかし、努力や気持ちだけではどうにもならないこともある、それが現実だ。

「貧しい人が看護婦になってまっとうに生きていこうとするのに、どうしたら助けられるんですか?」
直美も多田にこう訴えかけるが、トレインドナースの道自体まだまだ敷かれ始めたばかりの時代である。それが貧困をはじめとする社会の構造の問題を乗り越えていくような段階でないことも突きつけられる。

「私、間違えてしまいました……」
りんが失敗するたびに口にしてきた言葉が久しぶりに発せられた。もちろん前述のようにこれはりんの責任ではない。夢を叶えられる環境がまだ整っていないだけだ。

朝ドラ【風、薫る】ツヤを見守りながら、現実の厳しさを思い知る回。「きっと夢は叶う」と信じるりんの、お嬢様の立ち位置(画像5)

「風、薫る」第63回より(C)NHK

朝ドラ【風、薫る】ツヤを見守りながら、現実の厳しさを思い知る回。「きっと夢は叶う」と信じるりんの、お嬢様の立ち位置(画像6)

「風、薫る」第63回より(C)NHK

喜代が看護婦の道を途中であきらめた理由、それは「看護は奉仕ではなく、仕事です」というバーンズの言葉によるものだったと、ひさしぶりにりんたちのもとを訪れた喜代の口から明かされた。看護は仕事、当たり前ではあるが、ついついそのラインを感情が超えてしまい、その線引きは実際に難しい部分は今もあるような気もする。

ツヤは、帝都医大病院から去っていく。看病婦から看護婦になるという夢、それがサブタイトルにある「白日の夢」とされるのならば、それはあまりにも残酷だ。しかし、いつか看護婦になるために、勉強をするとツヤは言い残していった。夢は叶えるものであるのかもしれない。「間違い」や失敗でそれが叶えられなかったとしても、その夢を見続ける限り、叶えるための努力はまたすることができる。率直に言えば、ツヤに関する出来事には救いはない。だけど、救いを信じてみたくなる。それが看護を生業とする現在の人々の地位へとつながる。

白日の夢を現実のものとするために。そんな希望を託したくなるツヤの最後の笑顔だった。

朝ドラ【風、薫る】ツヤを見守りながら、現実の厳しさを思い知る回。「きっと夢は叶う」と信じるりんの、お嬢様の立ち位置(画像7)

「風、薫る」第65回より(C)NHK

朝ドラ【風、薫る】ツヤを見守りながら、現実の厳しさを思い知る回。「きっと夢は叶う」と信じるりんの、お嬢様の立ち位置(画像8)

「風、薫る」第65回より(C)NHK

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