還暦パリから3年。63歳ひとり旅で変わったこと【中道あんさん】
「人生100年時代」と言われる今、50代後半から60代は、これからの時間をどう過ごそうかと考え始める頃。まだまだ先は長い。だからこそ、のんびり隠居はもう少し先にとっておいて、今のうちに“できること”を始めておきたいものです。トップブロガー中道あんさんが今回語るテーマは、60代ひとり旅で「やめたこと」「外せないこと」。
台風の影響で丸一日飛行機が遅延!
60代になってから、旅支度で最初に確認するのは、パスポートでも天気でもありませんでした。「今日、ちゃんと歩けるかどうか」だったのです。5月の末から6月のはじめにかけて、ヘルシンキとウィーンへひとり旅してきました。ところが、出発前日に腰痛が悪化。階段を上がるのが辛くて、「これは、さすがにキャンセルかもしれない」と思ったほどでした。
ところが翌朝、恐る恐る起き上がってみると、前日よりずっと体が軽かったのです。「行けるかもしれない」そう思った私は、予定通り羽田空港直結のホテルへ向かったのです。
宿泊代もかかるし、時間効率だけ考えれば、決してコスパやタイパが良いとは言えない。
それでも今振り返ると、この“前日にしっかり休む”という選択が、今回の旅ではかなり大きかった気がします。
さらに、ヘルシンキまでの長距離フライトは、JALのマイル(特典航空券)ビジネスクラスをゲットしていました。機内では映画は観ずに横になってゴロゴロと過ごす。おかげで、ヘルシンキに到着したときには、スタスタと誰よりも早く歩いていました。ポイ活は贅沢をするためとかではなく、自分の体と財布を守るためですね。
若い頃の私は、「旅は気合いで行くもの」だと思っていました。でも63歳になった今は、無事に帰ってこられることが、旅の大切な要素になっています。というのも、帰国日の朝、日本で発生した台風6号の影響で丸一日飛行機が遅延することに。今度は、帰れるかどうか、それが問題になったのです。でも、帰れなかった日が、一番ウィーンを楽しむことができた。というギフトの方が大きかったですけどね。
今回は、はじめてのウィーンでした。
その街並みは、「人が暮らしている気配」はあるのに、雑多な看板がほとんどない。街全体が静かに整えられていて、歩いているだけで気持ちが落ち着きます。
「パリの華やかさとはどこか違うなぁ。でも、とっても上品」そんなことを考えながら街ブラを楽しみました。
旅の目的が美術館巡り。「接吻」で知られる、ウィーン世紀末を代表する画家クリムト。そして、クリムトに才能を見出された若き画家エゴン・シーレ。ふたりの作品をじっくりと鑑賞していくうちに、私は、「その人の人生そのもの」を見ていたのかもしれません。
ロマンチックなのにどこか不穏なのです。幸福だけで終わらない気配が、作品の奥に見え隠れしたような気がします。それが、ハプスブルグ家のフランツ・ヨーゼフ一世とエリザベートの劇的な恋愛結婚と皇帝一家としての葛藤の物語。ハプスブルグ帝国が崩壊へ向かっていった時代背景とともに、どこか重なって見えました。
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