朝ドラ「ブラッサム」クズ父でありながらも奥底には娘への愛が…清治(渡部篤郎)のインパクト
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田幸和歌子
「そこに、放蕩無頼の徒は見当たりませんでした」
ある日、学校で作文の宿題が出される。テーマは父についてだ。もともと綴り方は得意ではあるが、お題がお題だけにどう書いたらいいものか悩む珠に母のリョウは言った。
「そのまま書いてみたら? 正直に」
何をどう書こうか悩んでいる作家やライターに的確なアドバイスをする編集者のようでもある。
そんな珠が書き上げた父についての作品を、当の本人も訪れた授業参加の場で読み上げる。“放蕩無頼”と周りで言われている父のことを包み隠さず書いた内容は、瞬時に逆鱗に触れるかとハラハラしたが、そこから自分が見る父の姿は、周囲にそう噂されるものの時には物悲しく見えたりもしたと、清治が抱える孤独のようなものを見抜いたかのような見事な展開をみせた。
珠が感じた父の孤独を感じた瞬間とは、飼っていた籠の中のカナリアを月明かりのもとで眺めている父の姿である。籠の中のカナリアは、モラハラの父に閉じ込められる珠自身のようであり、家督を継がなかったのは実は足が悪い弟のためでもあり、勝手気ままな振る舞いをみせているようでありながら家に縛られるような運命を背負っていたりもする。清治もまた、鳥籠の中のカナリアそのもののようでもある。
「そこに、放蕩無頼の徒は見当たりませんでした」
珠の作文に記されたこの一文が、清治の本質を見抜いているといっていい。作文を読み終えた珠に、清治は満面の笑顔で手を叩いて大喜び、「お前、変わっちょるのぉ」という言い回しをしながら珠の頭をなでた。クズのようでありながらも奥底には娘への愛が存在する、そんな場面でもあった。
清治こそ、籠の中のカナリア。だからこそ、このカナリアをリョウが逃がしてしまったときに激しく取り乱したその姿は、自分と重ね合わせていたからこそさまざまな感情が爆発したものである。清治がずっと抱えてきた孤独や不安がカナリアを失ったことでどう影響していくのか、気になるところである。
サブタイトルの通り、その父と母のありかたを描きながら、のちの大作家への道の片鱗を垣間見せてくれた第1週。第5話のラスト、5年の時が流れ、大正2(1913)年。珠は石橋静河が演じる高等女学校の4年生となっていた。
岩国を代表する錦帯橋の上に立ち、川を眺めながら、
「綺麗じゃ」
そうつぶやく珠は少女時代と同じ雰囲気を持つ笑顔だった。ここから本格的に「ブラッサム」の世界が開いていく。
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