朝ドラ【風、薫る】転生?継承?そんな雰囲気を漂わせた、まさかのラストシーン
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田幸和歌子
1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。近代看護界の先駆者となった2人の女性を主役とする物語。「風、薫る」のレビュー、最終回です。
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>>朝ドラ【風、薫る】「言葉が足りないよ」りん(見上愛)の本音があふれた、シマケン(佐野晶哉)を看護した夜ツヤはついに看護婦試験に合格!
時は現代。明るく清潔な医療現場できびきびと働く二人の看護師。映し出された二人の顔は、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)そっくりである。りんと直美が撒いた種は、100年以上の時を超え現代に看護師という職業を立派に根づかせ立派な花を咲かせている。現代の二人の看護師は、りんと直美の子孫だったり、はたまた〝転生〟のような存在だったりするのだろうか、同じ俳優が演じることで実感するのは〝継承〟、そんな雰囲気を漂わせるラストシーンとなった。
NHK連続テレビ小説『風、薫る』の最終週「道標」が放送された。りんと直美は、まだまだ整っているわけではない看護婦の世界への道を整えていこうと、まさにサブタイトルが示す「道標」になるべく、看護婦養成所を開設する。かつて「看病婦」と呼ばれた社会的に低い地位だった患者の面倒を見る存在から、ナイチンゲールの教えを土台とし、職業としての「看護婦」という存在をこの国に築き上げていくなか、さまざまな壁が現れては乗り越えてきた。
派出看護が広まる中で質の悪い看護婦が派遣されたり高額を要求されるような事態が訪れたりすることもあった。看護婦が職業として定着していくために、教育や資格が制度化されていき、正規の教育を受けていないため独学を11年も続けながらも正式には看護婦として認められないツヤ(東野絢香)のような存在も生まれた。そんなツヤも、直美たちの教えによってついに合格することができた。
りんと直美の養成所が、未来の看護師たちに「道標」として示すテキストは、やはりナイチンゲールの著書「Notes on Nursing』である。言うまでもない、かつて二人がバーンズ(エマ・ハワード)のもとで看護とは何かを学んだときに手にした本である。
「多少の犠牲は仕方ない」
衛生局の柳生(中村倫也)はこう言った。正しい看護婦を誕生させていくための交通整理の過程でそういった状況が起こることはやむを得ないという冷静な考え方だ。しかし、そういった「犠牲」をできる限り拾い上げていきたい、りんも直美もそういう性格であることは、これまでずっと見守ってきた我々はよく知っている。
直美は柳生に養成所の実習を見に来てほしいと言う。「犠牲」となったかもしれないツヤのがんばりをその目で見てほしいという思いがあったからだ。りんとともに、リウマチ患者として入院する佳枝(相田翔子)を看護するツヤは、佳枝の気持ちに寄り添うりんの姿に、本では学べない「看護」の側面を体験することができた。
そんなりんも、いまだ看護とは何かということがわかっていないのかもしれないと言う。しかし、大切なのはわからないまま考え続けることである、そう気づいたりんは、看護とは「今そこにあるもの」と結論づける。困っている患者が求めるものこそが看護だと。直美は直美で、わからないものはわからないままで大事にしていきたいとする。
養成所での学びのかいあって、ツヤはついに看護婦試験に合格する。この合格は、りんたちが積み重ねてきた努力が結実したことも意味する、物語の中でも大切な成果である。
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