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【ブラッサム】珠(石橋静河)はいつ再び書き始めるのか?実在のモデルがいるドラマならではの楽しみ

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田幸和歌子

【ブラッサム】珠(石橋静河)はいつ再び書き始めるのか?実在のモデルがいるドラマならではの楽しみ(画像6)

「ブラッサム」第29回より(C)NHK

【ブラッサム】珠(石橋静河)はいつ再び書き始めるのか?実在のモデルがいるドラマならではの楽しみ(画像7)

「ブラッサム」第29回より(C)NHK

しかし、我々は知っている。宇野千代という存在を……

そんななか登場したのが、地域の人々によって成り立つ「頼母子講」という制度だ。定期的にお金を出し合い、そのお金をくじ引きで当たった人に与えるという、積み立てによる宝くじのような制度だ。地域の寄合で、そのくじを新入りだから最初にひけとうながされた保は、なんとそれを当ててしまう。その額は1000円、現代だと100万円以上と思われる大金である。

正吾夫妻ばかりでなく、頼母子講に集う人々、珠に仕立てを依頼する人々、もともと開拓民も多いという土地柄もあるのかもしれないが、新たに訪れた保と珠があたたかく受け入れられるさまは、モラハラ父のもとでの理不尽な扱いを受けたり同人誌によって主張すること自体を否定されたり、とどめに教員になってからの噂話で新たな職にもつけなくなるなど、居心地の悪い環境にいた珠にとって自分も周りも笑顔の環境は心安らぐ日々であったかもしれない。

しかし、我々は知っている。宇野千代という存在はもちろん、第1話冒頭で登場した、加賀まりこ演じる大作家となった晩年の珠の姿も。

【ブラッサム】珠(石橋静河)はいつ再び書き始めるのか?実在のモデルがいるドラマならではの楽しみ(画像8)

「ブラッサム」第30回より(C)NHK

そう、この物語は北の大地で仕立ての評判もよく小さな幸せをつかんだ女性のストーリーではない。ふたたびペンを手に取り、原稿用紙に向かう日は、どんなきっかけで、どんな形で訪れるのか。こういう興味で作品に向き合うことができるのは、完全オリジナルストーリーではないモデルとなった人物がいるからこその楽しみ方でもあるかもしれない。“作家・葉野珠”の誕生はいつなのか。そこに期待をもちながら北海道編を見守る、そんな雰囲気もある。

「もう小説は書かんのか?」
東京をあとにするするとき、黒崎は珠にそう言っていた。黒崎は珠の書いた小説を「稚拙」と断じながらも、油断すると心を抉られる瞬間があると、その奥にあるまだ芽吹かない才能の可能性に興味を抱いていたことは前週描かれていた。「悠楽軒」の常連でもあり、やはり作家の卵である良太(北野秀気)にも、描き続けていればまた会えると、珠が再び「書く」世界に帰ってくることへの伏線となる「匂わせ」のようなやりとりが散りばめられていることもまた、その先への期待や安心感につながる。

珠と保の札幌での生活は、この先どのように転がっていくのか。そして今目の前に届けられているささやかな安寧の日々はいつまで続いていくのか。保との平穏な幸せの日々の行方はどうなるのか。この札幌での生活も、あっという間に1年がスキップされていたが、その先もやはりこれまでのようにスピーディに舞台は移り変わっていくのだろう。

迎える第7週のタイトルは「あばく、書く」である。「あばく」とは何を指すのか、それはわからないが。「書く」という言葉が提示されたことで、珠が再び筆をとるまでの心の動きがどう描かれていくのか。期待して待ちたい。

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