ツイッターのフォロワー20万人超! 90歳の大崎博子さんのひとり暮らしが充実している理由
子どもが巣立ち、夫は旅立ち、最終的にひとりになる女性は少なくありません。たとえ家族がいても、「ひとり」の時間を楽しむ知恵と習慣があるかないかで、人生の幸福度は変わるもの。充実した日々を自らつくり出している90歳の大崎博子さんの暮らしぶりを教えていただきました。
プロフィール
大崎博子さん
おおさき・ひろこ●1932年茨城県生まれ。2DKの都営住宅でひとり暮らし。ブライダル関連のファッションコーディネーターとして70歳まで働く。娘の勧めで78歳でパソコンを購入。2011年に始めたツイッターが幅広い世代から支持を得て話題に。
健康であれば幸せ。 日常生活が大切です
「楽しい人生って、湧いてくるものじゃないのよ。自分が楽しみを見つけて生きることだと思う」──ひとり暮らしの90歳、大崎博子さんの、こうした「つぶやき」は、若者の心にも響くのだろう。ツイッターのフォロワー数は20万人を超える。日常の暮らしを綴った著書も出版。「あんなふうに年を重ねたい」と、今や多くの人に影響を与える存在だ。「ごく普通に生きてきて。まさかこんな老後が待っているなんて、想像もしませんでした」と大崎さんはほほ笑む。
始まりは78歳のとき。国際結婚をしてイギリスに住むひとり娘から、「インターネットが使えれば無料で通話ができ、連絡が取りやすい」とパソコンの購入を勧められたのだ。
「当時、Macのパソコンを買うと、年間9800円でパソコン講座を受けられたの。初めて使い方を教わったとき、こんな素晴らしいものが世の中にあるんだ!と夢中になりました。私は当時から韓流アイドルの東方神起にぞっこんで、動画サイトのユーチューブで彼らを見たかったの。目的があると、覚えも早いんですよ(笑)」
続いて、娘に勧められたのがツイッターだった。登録した数日後に東日本大震災が起きた。家の電話も携帯電話も通じない。唯一つながったのがツイッターだった。
「おかげで娘と連絡が取れて。こんなに役立つものなんだとわかって、原発事故への疑問、戦争体験のこと、そして日常のささいなことを、毎日ツイート(投稿)するようになったの。フォロワー数がどんどん増え、若い人や外国の人からも返信がきて、私の世界が広がっていきました」
住まいは2DKの都営住宅。大崎さんの日常は、まさにひとりで暮らす高齢女性のお手本のよう。
朝6時に起床。朝食をとって、歩いて公園に行き、太極拳を1時間。これが午前中のルーティンだ。午後は買い物に行ったり、ネットフリックスを見たり、ときには健康麻雀を楽しむ。友人と外食する以外は自炊。「夜の晩酌が至福の時間」と笑う。寝る前にニュース番組を見ながら体操し、10時に床に就く。
「80歳を過ぎるとね、もう欲はないの。健康なら幸せ。健康を維持するためには、ある程度は努力しなきゃ。体力をつけるのに運動は必要ですね。私の場合は太極拳とウォーキングがそれ。家から石神井公園まで往復約4000歩。公園で太極拳をして、公園をぐるっと一周して帰るとだいたい8000歩。疲れているときは途中でやめて帰ります。頑張りすぎないことも大事よね」
さらりと言うが、90 歳の身。寒い朝など外出が辛い日もあるだろう。
「私はずっと健康だったわけではないんですよ。70代で胃がんになって手術をしました。膝痛に悩まされ、何度も注射を打ち、水を抜いたことも。それがウォーキングと太極拳を始めてから治っちゃったんです。だから寒さなんて、なんのその(笑)」
公園に行けば仲間もいる。
「太極拳の参加者は30人ほど。もちろん、私が一番年長者。太極拳のあと、皆さんとおしゃべりしながら散歩するのも楽しいし、いいことずくめです」
頭の運動は、毎日のツイートと月6回の健康麻雀だという。
「散歩友達に勧められて、麻雀の同好会に入ったのが83歳のとき。ここでも最年長。若い頃にやっていたので50年ぶりかしら。脳トレのつもりで参加したけれど、いざ始めたらやっぱり勝ちたい、役満で上がりたい(笑)。負けず嫌いなんです」
それも若々しさの理由だろう。
きれいな花を見つけると スマホでパシャ!
石神井公園や都営住宅の庭を散歩中に、きれいな花を見つけては、スマホのカメラで撮影。それをツイッターに投稿する。「花の名前がわからないときは、グーグルの画像検索で撮影した画像から、AIが花の名前を調べてくれるんですよ。便利ね」。スマホの機能を使いこなし、操作も早い!