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平安時代の歌人・小野小町。本当はどんな女性だったのか? 謎多き生涯を髙樹のぶ子さんが描く

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ゆうゆう編集部

和歌の才能に優れる女流歌人・小野小町。その生涯の記録はほとんど残されておらず、謎多き男を片端から袖にした色恋女であり、それゆえに老いて零落したなどと、小町について伝わるのは悪評ばかり……。それは誤解だと確信する髙樹のぶ子さんは、恋に歌に一途に生きた小町の生涯を『小説 小野小町 百夜』で蘇らせました。

『小説 小野小町 百夜』
髙樹のぶ子著

現代では、美女の誉れは高くても悪評ばかりの歌人・小野小町。それは誤解だと確信する著者は、恋に歌に一途に生きた小町の生涯を小説で蘇らせた。
日本経済新聞出版 2420円

悪いイメージを払拭し、本当の小町を描きたかった

『小説 小野小町 百夜(ももよ)』が上梓された。今から1100年以上昔の、平安前期の歌人、小野小町の生涯を描いた作品だ。仁明天皇に更衣の立場で仕えた、和歌の才能に優れる女流歌人。六歌仙中ただ一人の女性として、小町の歌は有名だが、その生涯の記録はほとんど残されていない。

そのためか、男を片端から袖にした色恋女であり、それゆえに老いて零落したなどと、小町について伝わる現代のイメージはあまりよくないのだが……。

 花の色は
 うつりにけりないたづらに
 わが身世にふるながめせしまに

「小町の歌を読むと、これだけの感性をもっていて、世の中によい視線を投げかけて人と交流している人が、世間でいわれているような惨めな最期を迎えることは決してないだろうと、私には確信がもてるんです。文芸に関わる人間としても、そのイメージのまま置いておくのはかわいそうだと思って。きちんと彼女の人生を書きたいと、ずっと思ってきました」

と、著者の髙樹のぶ子さん。

物語は、小町が、その出生地である秋田県の雄勝から、母と別れ、京の都へ上ろうとする場面から始まる。小町の出生地については諸説あるが、髙樹さんは実際に雄勝を訪れて、この地こそが小町の母・大町の恋を生み、小町が生を受けた土地だと確信した。

「周りを山に囲まれていて、小町もきっと西の彼方を見ては、都に思いを馳せていたのではと思いました。雪解けの水が流れる美しい所で、ああ、ここで小町が生まれたんだと、すごく納得できたのです」

都に上り、宮中で女房として仕え、歌の名手として名声を得ていく小町だが、その人生は、悲しみや苦しみの連続でもある。それでも一途に生き、その時々の思いを歌に託していく小町。中盤以降のドラマティックな展開が切ない。

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