親の認知症に気づいたら、チェックリスト。親の気持ちと家族の心がまえを医師が解説
親の認知症に気づいたら、家族の心がまえ
認知症は、だれにでも起こり得ます。とはいえ、強い存在だった親が弱くなっていく様子に接するのは、子どもにとってはさみしく、つらいことでしょう。
認知症の親にかかわっていくためには、認知症のことを正しく理解することが必要です。
また、認知症の本人がどんな気持ちや願いをもっているのかがわかれば、接し方も変わります。すると、本人の状態もよくなり、子どもの負担も気持ちも軽くなります。
介護にかかわるさまざまなサービスや訪問診療、訪問介護といった制度もあります。知識があれば、ひとりで抱え込まず、相談機関に連絡したり、サポートを得て家族の負担を減らすことにもつながります。
情報を得るには、認知症に関する書籍、雑誌、新聞を読んだり、インターネットで認知症に関する情報を調べたり、主治医、認知症の専門医、地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談したりする方法があります。
早期発見で治る認知症もある
「認知症」というのは病名ではなく、状態をあらわすことばです。脳の病気により認知機能が低下し、自己や周囲の状況や判断が不正確になり、日常生活に支障をきたすようになった状態をいいます。
認知症を起こす原因となる病気は、ひとつではありませんし、症状のあらわれ方や進行、治療法などもさまざまです。同じ脳の病気でも、ほとんどの人にあらわれる症状もあれば、周囲のかかわり方しだいではあらわれにくい症状もあります。
認知症の原因になる主な病気には、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症などがあります。
正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍などの病気が原因の認知症の場合は、早期に治療を受けると早期に改善するケースがあります。ところが「認知症は治らない」と思い込んでいると、発見が遅れ、治療も遅れてしまいます。
早期受診をおすすめする理由はほかにもあります。病気の確定診断ができて治療方針が決められること、周りの人たちの混乱がおさまること、薬の治療であれば早く始めるほうが有効であること、介護保険などの利用がすみやかにできることなどです。
まず、かかりつけ医を受診する
受診の基本は、まずかかりつけ医の診察を受けて、必要に応じて認知症の専門の医療機関を紹介してもらうという流れになります。
日ごろから親の健康状態を診てくれる身近なかかりつけ医をもつことが重要です。
また、親をいきなりかかりつけ医に連れて行くことが難しければ、まずは子どもが先にかかりつけ医に相談しに行くという方法もあります。
かかりつけ医がいない人は、最寄りの地域包括支援センターに相談するといいでしょう。地域包括支援センターは市区町村に設置されていて、地域の高齢者への支援相談を行なっています。インタネットで検索することができます。
認知症に詳しい医師を探すには、かかりつけ医や地域包括支援センターに紹介してもらうほか、認知症の相談機関に問い合わせたり、認知症の学会のサイトで探すという方法もあります。