「国民年金だけじゃまずい!」50代・フリーランスの老後資金は「国民年金基金」と「iDeCo」の活用がカギ
iDeCo(個人型確定拠出年金)
フリーランスや自営業者など(第1号被保険者)が上乗せできるもう一つの公的年金は、「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」です。
確定拠出年金とは、自分で毎月の掛金と金融商品を決めて運用し、掛金とその運用益で資産を作っていくもの。運用先は、預貯金や投資信託、株式、保険などから自由に選ぶことができます。掛金の限度額は、月5000円から6万8000円(1000円単位)で、職業などによって上限は異なります。
加入年齢は20~60歳まで。国民年金基金と同様に、60歳以降も国民年金に任意加入している場合はその間も加入できます。
メリットは、運用次第で年金が増やせること。運用中の利益は課税されず、有利に再投資できます。しかも、掛金は、全額所得控除の対象。受け取り時も、公的年金等控除(まとめて受けとった場合は退職所得控除)が受けられます。
デメリットは、運用に失敗すると元本割れの可能性もあること。また、原則、途中解約不可で、60歳まで引き出せません。老後資金なので、60歳まで途中引き出しできないということはメリットでもあります。他のことに使ってしまう可能性がなくなるからですね。
マチュア世代にとっては……
iDeCoは、投資の「長期」「積立」「分散」の考え方を取り入れて、一般的な投資よりリスクを抑えて老後資金を作るための仕組みです。「長期」の点で言うと、少なくとも10年以上運用するのがおすすめ。加入は、今の自分の年齢で60歳まであと何年あるか、国民年金の任意加入期間も含めて何年運用できるか、よく考えて判断しましょう。
運用期間が数年しかない場合は、「NISA」を選ぶのが得策。2024年からは、非課税保有期間が無期限になるので、じっくり運用することができます。また、生涯投資金額は1800万円までと投資枠も拡大されました。年齢の上限はありませんので、無理のない範囲でゆっくり初めてもいいでしょう。
例)現在50歳で、毎月2万円を10年間iDeCoで運用した場合
想定利回り3%として
元本 240万円
10年後 2,788,959円
利益(非課税) 388,959円
ちなみに、イデコは、会社員や公務員(第2号被保険者)、専業主婦など(第3号被保険者)も加入でき、原則誰でも加入できます。
ただし、iDeCoの所得控除の節税効果は収入があって税金を支払っていること。第3号被保険者は、所得控除のメリットはありませんが、運用中の非課税と、受け取る時の税制優遇は受けられます。
月々の掛金の限度額は、加入資格で異なります。
次回は、自営業者やフリーランスの人が自分で作れる退職金「小規模企業共済」などについて説明します。
プロフィール
井戸美枝
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、国民年金基金連合会理事。生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、雑誌や新聞に連載を持つ。『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)など著書多数。
ホームページ:http://mie-ido.com
Twitter:@mieido
※この記事は2024年8月26日に文章構成を変更しました。
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